中小企業は人事評価システムを導入すべき?導入のメリットや選び方を解説
2024/07/15
現代では、企業が生き残るためには従業員の能力やスキルの活用が非常に重要な鍵となっています。
人事評価や評価データの管理は、Excelなどを利用して管理することもできますが、多くの人的リソースと時間が必要という問題があります。
そこで近年では、人事評価システムの導入が一般的になっています。
人事評価システムを導入することで、従業員の能力・スキルを活用でき、従業員のモチベーションやパフォーマンス向上、さらに業務の効率化まで期待できます。
特に人手の少ない中小企業こそ、人事評価システムを導入することで恩恵を受けやすいため、本記事では中小企業に焦点を当て、導入のメリットや選ぶ際の注意点などを解説します。
そもそも人事評価システムとは
人事評価制度は、従業員の人材育成やモチベーション向上、さらに企業成長に不可欠な非常に重要な業務ですが、この評価制度をシステム化したものです。
人事評価の関連業務は多岐に渡り、多くの工数がかかるため、従業員数が少ないうちはアナログにExcel管理などでも可能ですが、人数が増えるほどリソースを確保するのが難しくなり、ミスが発生することも考えられます。
人事評価システムを導入することにより、この業務を効率よくミスなく行うことができます。
人事評価システムとは、従業員の業務に対する姿勢や能力、給与などのパーソナルデータを一元管理し、様々な角度から人材を分析することができるタレントマネジメントシステムです。
人事評価関連業務における評価シートの作成や配布、データの集計・管理などのさまざまな工数がシステム上で完結します。
分析した人事評価データを採用業務や育成計画の参考にするなど、組織づくりへの活用も見込めるため、組織の問題点の洗い出しや改善策の立案がしやすくなります。
人事評価システムを活用することで評価基準を明確にしながら主観による評価を防止することもできるため、公平で納得感のある評価に繋げることができるでしょう。
人事評価の主な方法
人事評価の方法として、よく活用される5つの方法があります。
- MBO
- OKR
- 360度評価(多面評価)
- コンピテンシー評価
- 1on1ミーティング
一つずつみていきましょう。
MBO(目標管理制度)
MBOとはManagement by Objectivesの略で、直訳すると「目標管理制度」となります。
経営目標や部門目標を踏まえて個人目標を設定し、目標の達成度を評価する手法で、目標の達成度合いに応じて評価を決めます。
企業の経営目標をまず設定した上で、その内容をブレイクダウンして各組織、各個人の目標設定を実施し、個人の目標の達成度を人事評価システムによって評価し、全社的な目標達成度を測定する方法です。
OKR
OKRはObjectives and Key Resultsの略で、「目標と成果指標」と直訳されます。
組織としての目標設定を部門単位へ、さらに部門単位から個人単位まで落とし込み、最終的に企業の目標達成を実現することが目的です。
OKRは前述のMBOと比較されることが多いですが、最も大きな違いは、目標の高さ・頻度の違いにあります。
MBOは目標に対する達成度で評価するのに対し、OKRでは高い頻度で目標設定し、追跡、再評価を行う目標管理方法で、高い目標設定をすることに意味があるとした制度です。
360度評価(多面評価)
360度評価とは、上司・部下・同僚など、社員に関係するさまざまな立場から多画的に評価を行う手法です。
上司だけでなく、一緒に仕事をしたことのある部下や同僚、顧客など、異なる立場の複数人から多角的な評価を得られるのが特徴です。
より客観性や公平性を保った公正な人事評価を行うことができ、評価に対する社員の納得性も高まる制度です。
コンピテンシー評価
コンピテンシー評価とは、職種ごとに高い業績・成果を上げているパフォーマンスの高い従業員に共通する行動特性を基準に、人事評価を行う手法です。
ハイパフォーマーの行動やインタビュー内容をもとに行動や思考の傾向を分析し、評価基準項目を抽出します。
自社のロールモデルを基準に設定することで、「どのような行動をすれば評価されるのか」が明確になり、従業員の意識を高めることが期待されるでしょう。
1on1ミーティング
1on1ミーティングとは上司と部下「1対1」で行うミーティングのことで、上司と部下の間で、本人の能力開発について頻度高く面談する仕組みを指します。
従来の人事面談とは違い、部下の成長を促す意味合いで行われるのが特徴で、上司と部下の双方に有効なコミュニケーションをはかることができます。
中小企業に人事評価システムが必要な理由
人手不足の問題を抱えている中小企業では人事評価システムを導入することで、従業員の情報の一元化と業務の効率化が期待でき、解決できる課題も多いでしょう。
ここでは、人事システムで解決できる中小企業の課題について解説します。
- 人的・時間的コストの削減
- 適材適所の人員配置の実現
- 組織全体の生産性向上
人的・時間的コストの削減
社員の継続的な雇用や育成には、人件費を含めたさまざまな費用が発生します。
また、多角的で公平・公正な人事評価を実施するためには、人的・時間的コストも求められます。
人事評価システムを導入することで、人事評価においての評価シート作成から分析、給与の自動計算、休暇管理までがスムーズに進みます。
さらに自社の企業ミッションへの理解を従業員に促すことができるため、従業員の行動水準を高めることにも繋がります。
適材適所の人員配置の実現
人材評価システムを導入することで、個々のスキル・レベルに合わせた適材適所の人員配置を実施できます。
Excelや紙など手作業で従業員のデータを管理するとなると、膨大な時間と労力が必要になりますが、人事評価システムの人事データには過去の業務経験や能力、スキル、資格などが含まれるため一目で人事データを分析できるようになります。
適材適所の人員配置は、従業員自身の実力発揮ができる場に配置されるということなので、従業員のモチベーション向上や離職率の低下にも繋がります。
人的リソースを割きづらい中小企業にとっては、企業全体のパフォーマンス向上にも繋がるでしょう。
組織全体の生産性向上
中小企業では社長や幹部が現場に出たり、人事評価を担うという状況も多く、経営業務に専念できないという問題があります。
人事評価システムを導入することで人事評価関連業務の圧倒的な工数削減に繋がるだけでなく、報酬や昇進に関する決定もサポートできるため、社長や幹部は現場を離れ、経営業務に専念することができるようになります。
さらに人事評価においての査定基準が明確になるため、業務の質向上とあわせて、従業員のモチベーション向上や離職率の抑制にも役立ち、組織全体の生産性を高めていくことができるでしょう。
中小企業が人事評価システムを導入するメリット
中小企業が人事評価システムを導入するメリットは数多く存在します。
- 公平・公正な人事評価が可能に
- 従業員のスキルレベルを可視化でき、スキル管理が効率化する
- 従業員のモチベーション向上
- 生産性の向上
くわしく解説していきます。
公平・公正な人事評価が可能に
人事評価制度には公平・公正な人事評価が必要ですが、人が人を評価するという性質上、評価に主観が入ってしまうことも少なくありません。
評価基準が曖昧だったり、評価者によって評価にバラつきが出たりしてしまうと、公平性に欠けてしまい、従業員の不満に繋がり、最悪の場合離職に繋がってしまう可能性があります。
人事評価システムを導入することで、蓄積したデータを元に判断できるようになるため、主観に頼らない公平・公正な人事評価が可能になります。
従業員のスキルレベルを可視化でき、スキル管理が効率化する
人事評価システムには、従業員の評価や勤怠、給与や異動履歴などのパーソナルデータが一元管理されています。
これらのデータを多角的に分析することで、組織の問題点の洗い出しや改善策の立案がしやすくなるほか、各従業員のスキルレベルが可視化されるため、適材適所の人材配置や人材育成にも活用できるでしょう。
従業員のモチベーション向上
人事評価制度において、フィードバックやアドバイスは非常に繊細な業務で、このプロセスを丁寧に踏まないと従業員のモチベーションを下げることになりかねません。
人事評価システムを導入することによって、システムに組み込まれた形で評価プロセスを踏むことができるため、従業員のモチベーションを下げることなくコミュニケーションの活性化をはかることができるでしょう。
生産性の向上
人事評価システムの導入により、人事評価の工数の多い業務プロセスを自動化・システム化し、人事業務の効率化をはかることができます。
従業員一人一人のスキルやレベルに合わせた人材配置ができるため、強固な組織づくりへと繋がり、業績アップも期待できるでしょう。
中小企業が失敗しない人事評価システムの導入の流れ
人事評価システム導入のためにはいくつかのステップを踏む必要があります。
ここでは人事評価システムを導入する際の進め方をご紹介します。
- 自社の評価制度の見直し
- 導入目的と評価基準の明確化
- 自社に必要・不要な機能の洗い出し、システム選定
- 社内周知
1.自社の評価制度の見直し
人事評価システムを効率的に導入するにあたり、まずは自社の人事評価制度の見直しが大切になります。
自社の評価制度自体が不確定だと、システムを導入しても恩恵を得られない場合があるため、あらかじめ評価制度の整理・見直しましょう。
2.導入目的と評価基準の明確化
人事評価システム導入検討の際は、その導入目的と評価基準を整理し、明確にしておくことが重要です。
まずは自社の評価制度を見直したものを分析し、システム導入により実現したい目的を定めた上で、従業員へ明示する評価基準を整理します。
評価基準をしっかりと明確化して従業員へ周知することで、評価結果の意図や理由を理解しやすくなり、納得感のある効果的な評価運用に繋げることができます。
3.自社に必要・不要な機能の洗い出し、システム選定
人事評価システムの導入にあたり、最適なシステム選びも重要なプロセスです。
自社の評価制度や導入目的を整理した上で、必要な機能と不要な機能を洗い出します。
機能性や操作性をしっかりと確認しつつ、コスト面も考えてオーバースペックにならないよう、適切なものを選定しましょう。
この時、企業の規模に合ったものを選ぶことも重要です。
中小企業と大企業では従業員数や評価制度が異なる部分があるため、自社の規模に合ったシステムを導入するのが大切です。
4.社内周知
人事評価システム導入が決定した際は、従業員への周知を行います。
新たにシステムを導入するとなると、従業員はシステムの操作方法や運用について覚える必要があったり、従来の人事評価制度から変更がある場合もあります。
負担を最小限に抑えられるよう、社内研修や説明会などを用意してわかりやすい説明を行い、運用体制を整備しておきましょう。
統一した評価基準や客観的な視点で評価できるよう、評価者への教育も大切なポイントです。
人事評価システムの選び方
人事評価システムを導入する際には、自社に合ったものを選定することが重要です。
人事評価システムの選び方のポイントをまとめました。
- 企業としての導入目的を明確にする
- 予算と機能のバランスが良いか
- 操作性や使い勝手が良いか
- セキュリティ機能の確認
一つづつ見ていきましょう。
企業としての導入目的を明確にする
人事評価システムを導入する前に、まずは自社の導入目的を明確にしておくようにしましょう。
人事評価システムはさまざまあり、多機能なシステムは便利ですが、その分コストもかかります。
まずは自社の課題を明確にした上で、求めている機能を備えた物、使わない機能が少ない物を選びましょう。
また、今後の制度や法律改定を踏まえた機能があるかどうかも注目しておくのがおすすめです。
カスタマイズ機能があるものを選ぶと、システム導入以降も将来的に長く使用していけるでしょう。
予算と機能のバランスが良いか
人事評価システムを導入するには費用がかかりますが、機能が増えるほど当然高額になります。
限られた予算の中で効率的に活用するために、必要な機能をしっかりと洗い出ししておきましょう。
システム導入には、初期費用だけでなく、運用やメンテナンスにも費用がかかるため、その点も考慮しておく必要があります。
予算と機能をバランス良く調整することで、中小企業や小規模企業でもコスト効率の高い人事評価システムを導入できるでしょう。
人事評価システムの形態にはクラウド型とオンプレミス型の2種類があり、それぞれメリットとデメリットがありますが、中小企業の場合、導入コストが安価なクラウド型のシステムがおすすめです。
クラウド型
クラウド型は、インターネット経由で利用するタイプで、インターネットに接続されていればどんな場所・端末でも利用することができるため、出張中やテレワーク等でも対応が可能です。
ウェブのクラウド上にシステム環境を構築し、各データを集約して利用するため、サーバーの設置が不要で、導入コストも安価です。
デメリットとしては、機能のカスタマイズ性の低さと、通信状況の影響を受けやすい点が挙げられます。
オンプレミス型
オンプレミス型は、自社にサーバーを構築するタイプで、自社内に設置するため、セキュリティ対策がしやすいのが特徴です。
自社内に設置した専用サーバー内に構築したシステムをインストールして運用するので、機能のカスタマイズ性が高く、自社に合ったシステムを構築したい場合におすすめです。
デメリットとしては、サーバー設置のための構築・維持に多額のコストがかかる点でしょう。
セキュリティ機能の確認
人事評価システムでは、社員のさまざまな個人情報を管理します。
情報漏洩などのトラブルを避けるために、セキュリティ機能をしっかりと搭載したシステムを選ぶようにしましょう。
クラウド型のシステムの場合、ウェブ上にシステム環境が構築されており、セキュリティ対策はベンダー側が行います。
ベンダーのデータセンターにおいて、どのような対策がとられているのかを事前に確認しておくようにしましょう。
操作性や使い勝手が良いか
導入する予定の人事評価システムが、従業員にとって使い勝手が良いかも重要なポイントです。
人事評価システムを使用する評価者が、マニュアルを読まずとも、感覚的に情報を即座に把握できるシンプルな作りの物であること、また誰が見ても分かりやすい分析結果が出るかどうかも大切です。
中小企業こそ人事評価制度の導入で課題の解決を
人事評価ツールNewton(ニュートン)は、社員教育や給与水準に対しての課題や、スキル・マネジメント・スタンスなど個人の評価が見やすく、多くの情報をひと目で確認できます。
多角的に従業員を評価することができ、人材情報の一元管理はもちろん、評価基準の明確化や、育成計画の目標管理も可能です。
単独の評価者では評価にムラができやすいですが、複数人による多画的な評価をデータで自動取得できることにより納得度も高まるでしょう。(※特許取得済)
人事評価制度により組織・企業の成長に繋がる人材育成を実現したいとお考えの方は、ぜひニュートンをご活用ください。
この記事を書いたライター
Newton編集部
飲食店の人事に役立つ情報を発信していきます。人材から人材へ、人が育つ人事評価システムNewtonとは、飲食店に特化したタレントマネジメント+人事評価システムです。
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