飲食店の人事評価制度とは?一般企業との違いや作成のポイントについて解説!
2024/09/23
激しい競争環境に常にさらされている飲食店業界ですが、その中で生き抜くためには店舗の効率的な運営が不可欠です。
離職率が高いといわれる飲食業界では、業界特有の課題に合わせた人事評価制度を整え、業績に応じて賃金コントロールを行う必要があるでしょう。
本記事では、飲食店や外食チェーンの人事評価制度について解説します。
人事評価制度の目的や必要性、一般企業との違い、飲食店向けの評価制度の作成ポイントについても解説していきます。
人事評価制度の導入を考えている方や、見直しを検討している方はぜひ参考にしてください。
人事評価制度の目的とは
人事評価制度は、従業員の業務遂行能力や行動、パフォーマンス、業務への貢献度などを可視化して評価し、それに基づいて従業員個々の給与・報酬・賞与・昇進などに反映させる制度です。
飲食業界は離職率が高く人手不足といわれているからこそ、人員の評価はしっかり適正に行う必要があります。
人事評価制度を導入することで、自社の企業目標を明確化することができ、企業が従業員に期待し求める能力や行動が明確になります。
会社からの評価や判断基準を理解することで、従業員自身が目指すべき行動・戦略を取りやすくなるため、従業員の能力・意欲形成にも繋がり、業績の向上も期待できるでしょう。
また人事評価制度で社員それぞれの長所や短所、特徴をデータベース化することで、個々の技術や経験も明確化することができ、適切な人材配置にも繋がります。
この時、どのような人事制度を策定すべきかは重要なポイントです。
人事評価システムは競合が導入していない可能性が高いため、率先して導入することがおすすめです。
人事評価を行う際には、自社がどのような目的で人事評価を行うのか、必要性をしっかりと理解し、各従業員の評価を適正におこないましょう。
飲食業界と一般企業との人事評価の違い
飲食店や外食チェーンの経営を発展させていくためには人材の育成・定着は必要不可欠なため、人事評価制度の導入は非常に効果的でしょう。
しかし、飲食業界と一般企業とでは大きな違いがあるため、しっかりと理解しておく必要があります。
ここでは、飲食店と一般企業との人事評価の違いをまとめます。
- アルバイトやパートも評価対象になる
- 数値化できない項目(定性評価)が中心
アルバイトやパートも評価対象になる
飲食店の場合、職場には正社員だけでなくアルバイトやパートの従業員もいます。
アルバイトやパートも正社員に近い業務を任されることになるため、アルバイトやパートの従業員の時給の決定のために、正社員と同じように評価していく必要があります。
飲食業界における人事課題で最も大きいのは定着率の低さによる人材不足のため、いかにモチベーションを保ちながら働いてもらえるかが重要になりますが、このとき人事評価制度を活用するのは大変有効です。
入社間もない従業員であっても、働いた年数ではなく能力値で評価してもらえる環境を整えることで、待遇を良くするために意欲的に働いてくれる可能性があります。
人事評価制度を活用して優秀な人材を確保することは、飲食業として生き残っていくためには必要不可欠でしょう。
数値化できない項目(定性評価)が中心
飲食店においての人事評価制度では、一般企業で評価基準となる定量評価(売上金額、業績など)ではなく、数値化できない定性評価(対応力、自主性など)が中心になります。
売上や営業利益といった業績で目標達成していたとしても、スタッフ教育が不十分ではクレームに繋がり、店の評判も落ちてしまいます。
飲食業界で欠かせない評価項目として、QSC(クオリティー・サービス・クリンリネス)レベルのチェックがあり、これもそれぞれに評価ポイントを数値化していく必要があります。
たとえばホールスタッフであれば、「お客さまのニーズに応えているか」「丁寧な接客を心がけているか」などが大枠となるでしょう。
ただしQSCに関しては、社内だけで行うのは難しいため、お客さまアンケートを通して調査し、その結果を反映させるのがおすすめです。
飲食店の人事評価制度の種類
飲食店で人事評価制度を導入する際、活用されることが多い方法と、そのメリットデメリットをご紹介します。おもな評価の仕方を把握しておきましょう。
- MBO(目標管理制度)
- 360度評価制度
- 結果主義評価制度
MBO(目標管理制度)
MBO(目標管理制度)はManagement by Objectivesの略で、明確な目標(「少し」頑張れば達成できそうな身近なもの)を設定する手法です。
目標達成度を評価基準とするため、客観的な評価が可能であることと、従業員が目標達成に向けた自分の役割を理解しやすくなるため、モチベーションを保ちやすいのがメリットです。
その反面デメリットとして、昇給に反映させるため目標設定を低くしてしまったり、適切な設定ができなかった場合は逆効果になり、やる気を削いでしまう可能性があるでしょう。
360度評価制度
360度評価制度は、従業員の業務遂行能力や行動を、自己評価だけでなく、上司・部下・同僚など、社員に関係するさまざまな立場から多画的に調査し、評価を行う手法です。
異なる立場の複数人からの意見を反映させることにより、従業員の総合的な評価が可能となります。
客観性や公平性を保った評価ができるのがメリットですが、評価対象との関係性によっては甘く評価してしまう可能性があるのがデメリットです。
結果主義評価制度
結果主義評価制度は、業務成果によって従業員の評価を決定する制度です。
勤務歴や年齢を問わず数値的な指標などで評価されるため、納得感が高いのが特徴です。
平等に評価できるのがメリットですが、業務成果だけを重視するため、過度な競争やチームワーク面でのトラブルに繋がる可能性があるのがデメリットです。
飲食店の人事評価シート作成のポイント・注意点
飲食店における人事評価シートを作成する場合、意識しておくべきポイントが存在します。
- 店長・アルバイトなど立場によって工夫する
- 評価の基準を明確にする
- データをしっかりと分析し、活用する
- フィードバックの質を高める
店長・アルバイトなど立場によって工夫する
飲食店では、店長やアルバイトなど、従業員ごとに立場や責任も違ってきます。
例えばお客様からの評判が良くないホールスタッフが多ければ、それは店長の責任になってくるため、能力評価が低い点数となるでしょう。
店長の人事評価シートの場合、店長に必要な重要な項目として、人材育成や店舗内のチームワーク強化などがあります。
その他、経営理念への理解、売上高、原価率、人件費率、営業利益など、定量化できる業績目標達成率も評価対象になります。
アルバイトの人事評価シートの場合は、ホール、キッチンなど仕事内容により評価内容も異なるでしょう。
店長と違い、お客様対応やホスピタリティ、調理に使用する食材の知識や技術向上へのモチベーションなどの定性面がメインとなります。
各スタッフに目指すべき行動指針を指導することで、双方にとっても働きやすい環境になるでしょう。
評価の基準を明確にする
飲食店の人事評価シートを作成する際には、評価の基準を明確にしておく必要があります。評価する人によって基準がずれてしまうと、不公平感が生まれ、業務効率の低下や離職に繋がってしまう可能性があるでしょう。
従業員の不安を煽ることのないよう注意が必要です。
評価者の主観で判断することのないよう、人事評価システムを通し複数人からの明確な評価
を受けて客観的な評価を受けるようにするのがおすすめです。
細かく項目を定めてルール化し、評価基準を明確にしていくよう心がけましょう。
データをしっかりと分析し、活用する
人事評価制度で得たデータは、ただ保管するだけでなく、しっかりと分析し、活用することが重要です。
活用のイメージがつきづらい場合は、人事評価システムを導入するのがおすすめです。
ツールを使用することにより、職場の課題や、スキル・マネジメント・スタンスなどの多くの情報量を、調査を挟むことなく瞬時に判断できるため、顧客満足度の向上・生産性の向上を兼ね備えた詳細な評価制度が目指せるでしょう。
また評価シートは一度作ったらそのままずっと使わなければならないわけではありません。定期的に追加・修整を繰り返し、満足度の高い人事評価制度を構築してください。
フィードバックの質を高める
人事評価シートで得たデータをもとに、従業員へのフィードバックをするのも大切です。
その際、結果をどうフィードバックするかで、従業員の満足度が変わると言っても過言ではないでしょう。
面談では、従業員に対して具体的、建設的なフィードバックを提供することが大切です。
フィードバックの質を高め、従業員のモチベーション向上を促すための対策として、フィードバック担当者に対する研修や教育の機会などを設けるのもおすすめです。
飲食業界の人事課題
飲食業界では常に人材不足、人材の流動性の高さという課題があります。
以下2点に着目しながら、飲食業界の人事課題について見ていきましょう。
- 飲食業界の定着率の低さ
- 店長の質の低下
飲食業界の定着率の低さ
飲食業界・外食産業の最大の課題は、人材の定着率の低さだと言われています。
飲食業界は3K(きつい、きたない、きけん)のイメージを持つ人も多いことに加え、入れ替わりが激しくスタッフ間の情報共有がしづらいこと、残業や休日出勤が多いこと、賃金体系への不満が人材の定着率を下げてしまう要因となっています。
これらは飲食業界の「当たり前」といわれてきましたが、時代の移り変わりと共に、根本的にこの業界常識を改めなければならなくなっています。
人材不足だが応募が来ない、そのため人材確保ができず既存スタッフの負担が増え、既存スタッフの疲弊から離職に繋がり、さらなる人材不足に、といった負のスパイラルから抜け出せない状況の会社も多いかもしれません。
飲食業界は常に人手不足のため、しっかりと評価されなければ離職してしまう可能性が高くなってしまいます。貴重な人材を効率的に育成するためにも、適正な人事評価制度が必要となるわけです。
店長の質の低下
飲食店において、一番重要なポジションが「店長」です。とはいえ、同じ「店長」でも、店によって質は大きく違い、アルバイト・パートの定着にも影響を及ぼします。店長の育成を怠ってしまえば、部下も店も育たず、業績も上がることはないでしょう。
人材難な今日では少数精鋭で回さなければならないため、マネージメント能力やモチベーションが備わっていない、会社の経営理念への理解がない人材を人がいないからという理由で店長に任命したりしてしまうことが多いのも原因の一つでしょう。
人事評価の際には、店長に何を求めるかを明確にした上で評価項目を整備し、会社が店長自身に何を求めているかを伝える必要があります。本部とのやりとりが行えているかどうかも重要なポイントです。
さらに、各階層の役割が不明確だと、店長に業務が集中してしまい、大きな負担になってしまうことも考えられます。一般社員やアルバイトと差別化した評価項目を設定しましょう。
これらの課題を改善するためにも、人材育成ツールを取り入れ、各階層・立場によって評価項目を管理し、効率的な店舗運営を目指すのがおすすめです。
正しい人事評価をするためには人材評価ツール導入がおすすめ!
飲食業界は大きな課題を抱える業界だからこそ、優秀な人材の雇用・育成を実現するのが重要です。激しい店舗間競争を勝ち抜き、生き残るためにも、正しい人事評価と業務効率化を実現し、評価制度自体を大きく改革して、飲食店経営向けの評価制度を導入するのがおすすめの対策です。
人事評価ツールNewton(ニュートン)は、社員教育や給与水準に対しての課題や、スキル・マネジメント・スタンスなどの個人の評価が見やすく多くの情報量を瞬時に判断できるシステムで、顧客満足度の向上・生産性の向上を兼ね備えた詳細な評価制度が特徴です。
評価制度の構築から運用までワンストップでのサービス・サポート体制を提供しているため、人事評価に課題や不安を感じている飲食店様でも安心して利用できます。
単独ではなく、複数人による評価を自動取得できることにより評価者の納得度も高まります。(※特許取得済)
まだ競合が導入していない可能性が高いからこそ、率先して導入し、業界を強く生き抜く飲食店を目指していきましょう。
人事評価制度により組織・企業の成長に繋がる人材育成を実現し、業務効率化を目指したいとお考えの方は、ぜひニュートンをご活用ください。
この記事を書いたライター
Newton編集部
飲食店の人事に役立つ情報を発信していきます。人材から人材へ、人が育つ人事評価システムNewtonとは、飲食店に特化したタレントマネジメント+人事評価システムです。
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