人事評価シートとは?目的や重要性、職種別の評価項目サンプルも紹介
2024/08/22
人事評価シートとは?目的や重要性、職種別の評価項目サンプルも紹介
人事評価シートは、従業員の業績や能力、一人ひとりの目標や自己評価をふまえて昇進や昇給、賞与などの処遇を適切に決めるための明確な根拠となる書類です。
人事評価シートは企業の経営戦略の構築や組織開発にとって重要ですが、評価項目やフォーマットは各企業ごとに設定されているため、どのように書いたらよいのか分からない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、人事評価シートの目的や重要性に加え、職種別の評価項目サンプルもご紹介します。
適切で公平な評価基準を保った人事評価に繋げるために、ぜひ参考にしてください。
人事評価シートとは
人事評価シートは、従業員の業績や能力を公平に評価する際の評価項目や、従業員ごとの目標を管理するための書類で、多くの企業が組織開発のために活用しています。
人事評価シートの他、人事考課シートや成果効果シート、行動評価シートなどとも呼ばれます。
具体的には、各従業員の意欲・スキル・成果に加え、積極性・規律性・協調性など、業務に取り組む姿勢も評価します。
これらの情報を各従業員の昇格・昇給・賞与などの処遇や、さまざまな人事施策に役立てます。
ただし、この人事評価が適切に行われず不公平な結果となってしまうと、従業員間で不満が生まれ、モチベーションの低下や離職率の増加につながる可能性があるため注意が必要です。
人事評価シートを作成する目的
多くの企業で活用されている人事評価シートですが、公平かつ公正に人事評価を行うことが一番の目的・前提になります。
下記が、人事評価シートを作成する主な目的です。
- 組織目標を明示できる
- 人事評価基準を明確化し公平性を保つ
- 従業員の行動指針を示しモチベーション向上を促す
一つずつ紹介します。
組織目標を明示できる
人事評価シートや人事評価制度を活用することにより、組織の目標やビジョン、独自の価値観やルール、経営戦略を明示することができます。
これにより、企業が求める働き方が明確となり、企業と従業員間での共通認識が生まれ、従業員が企業の指針に沿った行動を取りやすくなります。
結果として、各従業員の能力とのエンゲージメントも高まるでしょう。
人事評価基準を明確化し公平性を保つ
人事評価シートを作成し、人事評価項目を定めておくことで、評価基準や根拠が明確になり、評価結果にも納得しやすくなります。
公平かつ公正な人事評価で、従業員が働きやすさと納得感を感じることにより、会社への愛着や忠誠心も高まり、退職リスクの低減にも繋がります。
従業員のモチベーション向上を促す
作成した人事評価シートを元に、社員の能力や技能、業績を客観的に調査・測定し、昇進や昇給、賞与や人事異動などを決定します。
この人事評価制度では、評価項目となる必要な成果や能力などが明確に示されるため、従業員は具体的な目標を設定しやすくなり、成長の機会を得られるようになります。
また、フィードバックや面談・面接の場を設けることで上司と部下が直接話せるため、従業員は自分自身の強みや課題、努力の方向性やキャリアプランなどを考えるきっかけになり、双方間での信頼関係を築くことができるでしょう。
人事評価シートの主な評価基準
人事評価シートは、人事評価の評価基準をもとに構成されます。
人事評価の評価基準となる項目は、「成果評価(業績評価)」「能力評価」「情意評価」の3つを主軸として成り立っています。
- 業績評価(成果評価)
- 能力評価
- 情意評価
それぞれみていきましょう。
業績評価(成果評価)
業績評価、成果評価とは、一定期間に設定した目標に対して、どの程度達成できて、会社へ貢献できたかを評価する方法です。
従業員の成果や目標の達成・成長度合い、成果に至るまでのプロセスを部門や個人単位で評価します。
業務目標に対する達成度の「業務目標達成度」と、目標達成のための課題の達成度の「課題目標達成度」に分けて評価することが多いでしょう。
能力評価
能力評価とは、保有している能力や技能を業務でどれだけ発揮できたかを評価するもので、職務を遂行する上で求められるスキルや知識といった従業員の能力や、その能力自体がどれくらい発揮されたかを評価します。
主に評価基準となる能力には、「企画力」「計画力」「実行力」「問題解決力」「リーダーシップ」などがあり、元々の能力をどれだけ発揮できたかに加え、新たな能力を開発できたかも評価します。
なお、職位や職種によって求められる能力やレベルは異なります。
情意評価
情意評価とは、従業員の日頃の遅刻早退の勤怠や、業務意欲などを評価する方法です。
主な評価基準には、規律性、責任感、協調性、積極性など、仕事に対する姿勢や態度があります。
数値化できない部分を評価する方法のため、評価者の主観が入りやすくなり、あいまいな評価になりがちです。
客観的に評価するために、自己評価や上司からの評価に加え、同僚や部下からの評価も加味するのが一般的です。
職種別の評価項目の例文サンプル
ここからは人事評価シートの評価項目サンプルを、職種別にご紹介します。
具体例として下記の4つの職種をご紹介します。
- 事務職
- 営業職
- 技術職
- 管理職
なお、情意評価は社内共通であることが多いでしょう。
事務職
事務職は、ノルマなどの明確な指標が少ない職種のため、「成績」の評価に必要な数値目標を設定しづらい職種のため工夫が必要です。
評価 | 評価項目 | 評価内容 | 評価点 |
業績評価 | 業務目標達成度 | 業務目標を達成できたか | 5・4・3・2・1 |
課題目標達成度 | 業務目標の達成に向けて設定した課題を達成できたか | 5・4・3・2・1 | |
能力評価 | 企画力 | 主体的に企画提案できたか | 5・4・3・2・1 |
実行力 | 独力で業務を行えたか | 5・4・3・2・1 | |
知識 | 担当業務に関する知識が備わっているか | 5・4・3・2・1 | |
スケジュール管理 | 設定した納期を守り、予定通りに業務を行えたか | 5・4・3・2・1 | |
正確性 | 与えられた仕事をミスなく正確に行えたか | 5・4・3・2・1 | |
クレーム対応 | クレームを適切に処理できたか | 5・4・3・2・1 | |
情意評価 | 積極性、意欲 | 積極的にスキルアップや業務効率改善に取り組んでいたか | 5・4・3・2・1 |
規律性 | 就業規則やルールに則った行動ができていたか | 5・4・3・2・1 | |
協調性 | 上司・同僚・他部門とコミュニケーションを取り、協力して業務を推進したか | 5・4・3・2・1 | |
責任感 | 自分の役割に責任を持って最後まで計画通りに遂行したか | 5・4・3・2・1 |
営業職
営業職は、とくに売上などの数値目標を重要視する傾向にあるため、「業務目標達成度」と「目標達成過程」をはじめ、商談に関わる「計画力」や「企画力」「コミュニケーション能力」が重要な評価項目になります。
営業職は定量的な評価がしやすいため、売り上げ目標金額に対する売り上げ実績などに比重をおいて評価します。
評価 | 評価項目 | 評価内容 | 評価点 |
業績評価 | 業務目標達成度 | 業務目標を達成できたか | 5・4・3・2・1 |
課題目標達成度 | 業務目標の達成に向けて設定した課題を達成できたか | 5・4・3・2・1 | |
能力評価 | 企画力 | 主体的に企画提案できたか | 5・4・3・2・1 |
実行力 | 独力で業務を行えたか | 5・4・3・2・1 | |
知識 | 担当業務に関する知識が備わっているか | 5・4・3・2・1 | |
スケジュール管理 | 設定した納期を守り、予定通りに業務を行えたか | 5・4・3・2・1 | |
正確性 | 与えられた仕事をミスなく正確に行えたか | 5・4・3・2・1 | |
コミュニケーション | 顧客と綿密なコミュニケーションを取り、信頼を得ていたか | 5・4・3・2・1 | |
交渉力 | 的確に説明や交渉し、有利な条件を引き出せたか | 5・4・3・2・1 | |
情意評価 | 積極性、意欲 | 積極的にスキルアップや業務効率改善に取り組んでいたか | 5・4・3・2・1 |
規律性 | 就業規則やルールに則った行動ができていたか | 5・4・3・2・1 | |
協調性 | 上司・同僚・他部門とコミュニケーションを取り、協力して業務を推進したか | 5・4・3・2・1 | |
責任感 | 自分の役割に責任を持って最後まで計画通りに遂行したか | 5・4・3・2・1 |
技術職
技術職は、資格などを通して専門的な知識を身に付けたかのスキルを評価する技術力と、その業務をミスなく行えたかの正確性が重要な評価項目です。
顧客満足度に大きく関わるスケジュール管理も、重要なポイントといえます。
評価 | 評価項目 | 評価内容 | 評価点 |
業績評価 | 業務目標達成度 | 業務目標を達成できたか | 5・4・3・2・1 |
課題目標達成度 | 業務目標の達成に向けて設定した課題を達成できたか | 5・4・3・2・1 | |
能力評価 | 企画力 | 主体的に企画提案できたか | 5・4・3・2・1 |
技術力 | 業務を行うための技術が備わっているか | 5・4・3・2・1 | |
知識 | 担当業務の専門分野に関して深い知識が備わっているか | 5・4・3・2・1 | |
スケジュール管理 | 設定した納期を守り、予定通りに業務を行えたか | 5・4・3・2・1 | |
正確性 | 与えられた仕事をミスなく正確に行えたか | 5・4・3・2・1 | |
コミュニケーション | 顧客と綿密なコミュニケーションを取り、信頼を得ていたか | 5・4・3・2・1 | |
クレーム対応 | クレームを適切に処理できたか | 5・4・3・2・1 | |
交渉力 | 的確に説明や交渉し、有利な条件を引き出せたか | 5・4・3・2・1 | |
情意評価 | 積極性、意欲 | 積極的にスキルアップや業務効率改善に取り組んでいたか | 5・4・3・2・1 |
規律性 | 就業規則やルールに則った行動ができていたか | 5・4・3・2・1 | |
協調性 | 上司・同僚・他部門とコミュニケーションを取り、協力して業務を推進したか | 5・4・3・2・1 | |
責任感 | 自分の役割に責任を持って最後まで計画通りに遂行したか | 5・4・3・2・1 |
管理職
管理職は、メンバーの育成やチーム・部署・部門の生産性向上などを担うため、リーダーシップと指導・育成を重視して評価します。
また、管理者は面談なども行うため部下との関係構築や他部門との連携が必要なため、コミュニケーション力も重要な評価項目となります。
評価 | 評価項目 | 評価内容 | 評価点 |
業績評価 | 業務目標達成度 | 業務目標を達成できたか | 5・4・3・2・1 |
課題目標達成度 | 業務目標の達成に向けて設定した課題を達成できたか | 5・4・3・2・1 | |
能力評価 | 企画力 | 主体的に企画提案できたか | 5・4・3・2・1 |
計画立案 | 部門計画の立案と実行ができたか | 5・4・3・2・1 | |
改善力 | 業務効率化のため、業務改善に取り組めたか | 5・4・3・2・1 | |
リーダーシップ | 管理者としてのリーダーシップを発揮して部門全体をまとめ、課題解決に取り組めたか | 5・4・3・2・1 | |
指導力 | 部下を成長させることができたか | 5・4・3・2・1 | |
スケジュール管理 | 設定した納期を守り、予定通りに業務を行えたか | 5・4・3・2・1 | |
正確性 | 与えられた仕事をミスなく正確に行えたか | 5・4・3・2・1 | |
コミュニケーション | 顧客と綿密なコミュニケーションを取り、信頼を得ていたか | 5・4・3・2・1 | |
クレーム対応 | クレームを適切に処理できたか | 5・4・3・2・1 | |
交渉力 | 的確に説明や交渉し、有利な条件を引き出せたか | 5・4・3・2・1 | |
情意評価 | 積極性、意欲 | 積極的にスキルアップや業務効率改善に取り組んでいたか | 5・4・3・2・1 |
規律性 | 就業規則やルールに則った行動ができていたか | 5・4・3・2・1 | |
協調性 | 上司・同僚・他部門とコミュニケーションを取り、協力して業務を推進したか | 5・4・3・2・1 | |
責任感 | 自分の役割に責任を持って最後まで計画通りに遂行したか | 5・4・3・2・1 |
人事評価シートの項目作成のポイント
人事評価シートは社員の能力や成果を正確かつ公平に評価するための重要な書類ですが、書き方を間違えると従業員の不信感にも繋がりかねません。
人事評価シートの項目作成のポイントは下記の通りです。
- 自社の目標や理念を明示する
- 定量化しにくい業務は達成条件を明確に書く
一つみていきましょう。
自社の目標や企業理念を明示する
人事評価シートの項目作成する場合、自社の企業目標や理念を把握した上で設定することが大切です。
それらを明確化した上で、達成すべき成果や必要な能力に落とし込み、従業員の現状スキルや能力の差を評価するようにしましょう。
記入の際は、評価できる点と合わせて、問題点や改善点も具体的に書くのがおすすめです。
定量化しにくい業務は達成条件を明確に書く
定量化しやすい業務以外の達成条件を明確にするようにしましょう。
先述の通り、定量化しやすい達成条件とは、例えば営業職における「売り上げ目標金額に対する売り上げ実績」のような場合です。
それ以外の業務における達成条件を曖昧に設定してしまうと、公平性が失われ、従業員の不満の元になったり、退職に繋がる可能性もあります。
人事評価シートで最適な人事評価を
このように人事評価シートの評価基準は「成績」「能力」「情意」の3つに分類され、職種によって、業務内容や必要な能力が異なります。
評価項目は職種別に設定する必要があり、人事評価シートから得た評価データを、人事評価ツールでシステム化することにより、タレントマネジメントなどが実現でき、人材育成システムの戦略人事に展開することが可能です。
このようなタレントマネジメントの仕組み化には、人事評価ツールNewton(ニュートン)がおすすめです。
社員教育や給与水準に対しての課題や、スキル・マネジメント・スタンスなど個人の評価が見やすく、多くの情報をひと目で確認できます。
また独自のシステムにより、顧客満足度の向上・生産性の向上を兼ね備えた詳細な仕様が特徴です。
工数のかかる「人事評価」業務を「人事評価ツールNewton(ニュートン)」でシンプルに効率化してみてはいかがでしょうか。
この記事を書いたライター
Newton編集部
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