【無料テンプレート付】飲食店アルバイトの人事評価シート|作り方と評価項目例を紹介
2024/08/05
「アルバイトのモチベーションが上がらない…」「なかなか人が定着しない…」
飲食店を経営する上で、アルバイトの人材問題は常に付きまとう悩みの種です。特に、人材不足が深刻化する昨今では、アルバイトの採用・育成は、お店の業績を左右する重要な経営課題と言えるでしょう。
そこで今回は、飲食店におけるアルバイトの人事評価に焦点を当て、業務効率化や従業員満足度向上を実現する評価シートの作り方から、評価項目例、無料テンプレートまでご紹介します。
飲食店アルバイトの人事評価シートはなぜ必要?
「人事評価シート?そんな大層なもの必要ないよ…」「忙しくて作る時間がない…」
そう思われた方もいるのではないでしょうか。しかし、アルバイトだからといって、人事評価を軽視することは大変危険です。
人事評価シートがないとどうなる?
人事評価シートがない場合、以下のような問題が発生する可能性があります。
問題点詳細不公平な評価評価基準が曖昧なため、評価する側の主観に左右され、不公平な評価が行われてしまう可能性があります。
従業員のモチベーション低下自分の努力が評価されているのか、どのように成長すれば良いのかが分からず、従業員のモチベーションが低下する可能性があります。
人材育成の停滞従業員の強みや弱みが明確にならず、効果的な人材育成が行えない可能性があります。離職率の増加評価に対する不満や将来への不安から、従業員の離職率が増加する可能性があります。
これらの問題は、お店の業績悪化や、従業員とのトラブルに繋がってしまう可能性もあります。
飲食店におけるアルバイト人材の重要性
飲食店において、アルバイトはお店の顔として、お客様にサービスを提供する重要な役割を担っています。お店の第一印象を決め、顧客満足度を左右する重要なポジションとも言えるでしょう。
また、慢性的な人手不足が叫ばれる中、アルバイトの定着率を高めることは、安定した店舗運営に欠かせません。
従業員が長く働き続けたいと思えるような環境を作るためには、適切な評価制度と、それに基づいたフィードバックが重要になります。
人事評価シート導入によるメリット
人事評価シートを導入することで、飲食店経営には多くのメリットがあります。主なメリットを以下にまとめました。
離職率の低下
人事評価シートを導入することで、アルバイトは自身の努力が評価されていることを実感でき、モチベーションの維持、向上に繋がります。
「評価=給与に反映される」という単純なものではなく、頑張りを評価してくれるという事実が、従業員にとって働きがいのある環境になるでしょう。
従業員のモチベーション向上
人事評価シートを用いることで、従業員一人ひとりの強みや弱みを客観的に把握することができます。また、従業員は目標が明確化し、次のスキルアップを具体的に目指すことが可能になります。その結果に基づいた適切な指導や教育を行うことで、従業員のスキルアップを促進し、更なるモチベーション向上に繋がるでしょう。
人材育成・スキルアップ
人事評価シートを通じて、従業員との定期的なコミュニケーションの機会を設けることができます。評価面談などを通して、従業員の悩みや不安を早期に把握し、適切なアドバイスやサポートを行うことで、離職防止に繋げることが可能になります。
評価基準の明確化
人事評価シートを導入することで、評価基準が明確化され、評価者によって評価がぶれることなく、公平性の高い評価制度を構築することができます。また、評価項目が明確になることで、従業員は自身の強みや弱みを客観的に認識できるようになり、自己成長を促進することができます。
【目的別】飲食店アルバイトの人事評価シートの作り方
人事評価シートの作り方を、項目別に詳しく解説します。
1. 評価項目を決める
飲食店アルバイトの人事評価シートを作る上で、最も重要なのが評価項目です。適切な評価項目を設定することで、従業員の成長を促し、お店全体のサービスレベル向上に繋がる評価制度を構築することができます。
飲食店アルバイトに求められる能力とは?
評価項目を設定する前に、まずは飲食店アルバイトにどのような能力が求められるのかを明確にしましょう。飲食店の種類や規模、職種によっても異なりますが、一般的には以下のような能力が求められます。
- 接客能力(コミュニケーション能力、顧客対応力、笑顔、言葉遣い)
- 業務処理能力(正確性、スピード、効率性、状況判断力)
- 協調性(チームワーク、報告・連絡・相談)
- 責任感(時間厳守、ルール遵守)
- 清潔感(身だしなみ、衛生管理)
- スキル能力(ホール・厨房のオペレーション能力)
具体的な評価項目を設定する
上記を踏まえ、それぞれの能力を測るための具体的な評価項目を設定します。評価項目は、できるだけ具体的で、かつ、測定可能なものにすることが重要です。「あいさつがきちんとできる」「お客様を待たせないようにする」「チームワークを大切にできる」など、行動レベルで判断できる項目を設定することで、評価の精度を高めることができます。
2. 評価基準を設定する
評価項目が決まったら、次に、それぞれの項目に対する評価基準を設定します。評価基準が曖昧だと、評価者によって評価がバラバラになってしまう可能性があります。評価基準は、具体的で分かりやすく、かつ、誰が見ても納得できるものでなければなりません。
スタンス設計(姿勢や態度)
飲食店は「人」と「人」とのコミュニケーションが重要な要素となるため、高いコミュニケーション能力が求められます。そのため、スキルだけでなく、仕事に対する姿勢や態度など、従業員がどのように仕事に取り組むか、職場での行動や態度を含む概念の「スタンス」項目も設定する必要があります。
例えば、「挨拶をしっかりしているか」「笑顔で接客しているか」「周囲と協力して業務に取り組んでいるか」といった評価項目を設定します。
スキル設計(オペレーション)
飲食店アルバイトの業務は多岐に渡るため、それぞれの業務内容に合わせた具体的なスキル項目を設定する必要があります。スキル項目は、経験や習熟度によってレベル分けすると、より客観的な評価がしやすいでしょう。
例えば、ホールスタッフであれば、「オーダーを取ることができる」「料理を運ぶことができる」「テーブルセッティングができる」といった評価項目を設定します。キッチンスタッフであれば、「簡単な調理補助ができる」「盛り付けができる」「食材の仕込みができる」といった評価項目を設定します。
目標管理制度(MBO)
目標管理制度(MBO)とは、従業員自身が具体的な目標を設定し、その達成度合いを評価する制度です。従業員のモチベーション向上や、人材育成に効果的と言われています。目標管理制度を取り入れる場合は、目標設定の仕方や、目標達成度合いの評価方法などを明確にしておく必要があります。
3. 評価シートを作成する
評価項目と評価基準が決まったら、実際に評価シートを作成します。Excelなどの表計算ソフトを使用すると、簡単に作成することができます。評価シートは、以下の項目を含むように作成すると良いでしょう。
- 評価対象期間
- 従業員情報(氏名、所属、評価者など)
- 評価項目
- 評価基準
- 評価点
- コメント欄
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業態別に「酒場・ビアホール・日本料理・料亭・中華料理・焼肉・ラーメン・そば・うどん・すし店・居酒屋・バー・お好み焼き・鉄板焼き・喫茶店・カフェ・たこ焼き・デリ・惣菜など」ご用意しております。
4. 評価結果をフィードバックする
評価が完了したら、その結果を従業員にフィードバックします。フィードバックは、単に評価を伝えるだけでなく、従業員の成長を促すための重要なコミュニケーションの機会です。フィードバックを行う際には、以下の点に注意しましょう。
フィードバック面談のポイント
- 具体的な事例を挙げて評価する
- 良い点だけでなく、改善点も伝える
- 従業員の意見に耳を傾ける
- 今後の目標設定を行う
5. 人事評価を賃金に反映させる方法
人事評価の結果は、昇給や賞与などの賃金に反映させることで、従業員のモチベーション向上に繋がるでしょう。ただし、評価結果をそのまま賃金に反映させるのではなく、会社の業績や人事制度などを考慮して、適切な方法で反映させることが重要です。
具体的なイメージを掴みやすくするため、評価項目の一例をご紹介します。
マインド(設問設計)
経営理念や店舗ルール
- 会社の経営理念(ビジョン・ミッション)を理解し、価値観を合わせて仕事ができる
- 時間厳守や店舗ルールの遵守など、決まりを守ることができている
- 周囲に対して、いつでも気持ちの良い挨拶をしている
- 働く場所に相応しい、清潔感のある身だしなみを整えている
スキル(設問設計)
電話対応
- 電話は3コール以内に取る意識があり、越えた場合には「お待たせいたしました」の枕詞を言うことができる
- 社会人として元気よく適切な電話対応ができる(言葉遣い、復唱、名乗り、ご案内)
- 適切に予約を受けることができる(予約状況、回転、人数、内容、アレルギー、その他ご要望など)
来店対応
- お客様の来店を常に意識し、元気の良い挨拶でお出迎えできている
- 食券機の案内が適切にできている ※食券機がない場合は「0.評価しない」
- ご予約の有無、来店人数を確認してから入店可否を判断できている
オーダー授受
- ハンディーを正確かつスムーズに取り扱うことができる
- ハンディ操作だけに集中せず、お客様との目線を合わせてオーダーを受けている
- お客様に呼ばれた際は、反応していることを示し(手を上げる等)素早く駆けつけている
ドリンク作成
- メニューに記載のあるドリンクを規定のルールに則り素早く作成できる
- ドリンク作成時もお客様に背を向けず、呼ばれたらすぐに動けるように作業をしている
- 生樽・ガス・サワー等の交換・清掃が早い(在庫の場所も把握している)
商品提供
- 取り皿や取り箸など、お客様の状況を観察し率先して提案できている
- ファーストドリンクを迅速に提供できている
- 完成した料理は優先順位を理解し、熱いものは熱いうちに、冷たいものは冷たいうちに提供できている
中間サービス
- お客様のお飲み物が残り2口ほどの時には追加ドリンクが聞けている
- 定期的に店内を巡回し、お客様に呼ばれる前に対応できている(1way 2jobの意識)
- お客様に席を広く使っていただくために、卓上の不要物を適宜バッシングできている
退店対応
- 料理が出ているか会計前に確認し、問題があれば修正・報告することが事前にできる
- お客様のお会計のサインに気づくことができ、お待たせすることなく伝票をお持ちできる
- レジ操作を正確に行うことができる(領収書、割り勘、クーポン、キャッスレス決済など)
洗い場
- グラス・食器を正確に洗浄することができている
- 使用後はシンクを綺麗な状態に洗浄している
- 足りない食器等を意識した上で洗い物・皿、グラス補填ができている
宴会対応
- コース内容や飲み放題のルールを理解しお客様の前で説明することができる
- 退店予定時間を越えないように、料理とドリンクのラストオーダーに留意した対応ができている
- 上座、下座を理解し、適切な順序で料理やドリンクを提供できる
クレーム対応
- クレーム発生時の初期対応(迅速で誠意ある対応)ができている
- 対応を自己判断せず、状況を素早く明確に(席番・原因・お客様状況・初期対応等)責任者に報告・相談できる
- クレーム対応を責任者として適切にクロージングすることができる
デシャップ
- オーダー表を素早く正確に捌くことができる(スピード・順番)
- キッチンとホールの状況を把握し、常に冷静に適切な指示出しやフォローができる
- キッチンの提供速度、お客様の状況を総合的に判断し、料理の提供順序を適宜コントロールできる
調理(キッチン)
- 食材や食器の場所を把握している
- 前菜やお通しの作成ができる
- サイド・〆メニューの作成ができる、ご飯の提供を任せられる(品質・量・温かさ)
店舗運営管理
- オープン業務を円滑にできる
- クローズ業務を円滑にできる
- 開店準備から、閉店作業まで店長・社員不在時でも問題なく営業できる
衛生管理(全体)
- 正しい手洗いの方法を理解し、必要なタイミングで漏れなく実行できている
- 手指に傷があるときやカットバンをしている際は、きちんと手袋をしている
- 作業台や備品類を常に清潔な状態で管理できている
衛生管理(厨房)
- 食材を適切な温度で保管、管理できている
- 生肉用包丁/まな板の使い分けができている
- 包丁・まな板は、常に衛生的に使えるよう適宜洗浄、消毒できている
など、人事評価項目の一例をご紹介しました。テンプレートをダウンロードしていただき、自店舗にあった人事評価シートを作成してみてください。
飲食店アルバイトの人事評価シートに関するよくある質問
飲食店の人事評価シートに関して、よくある質問をまとめました。
Q. アルバイトの人事評価は、どのくらいの頻度で行うべきですか?
A. アルバイトの人事評価の頻度は、お店の状況や規模、アルバイトの経験年数などによって異なりますが、一般的には、3ヶ月に1回、または半年に1回程度の頻度で行うのが良いでしょう。あまりにも評価期間が長すぎると、従業員のモチベーションが低下してしまう可能性があります。逆に、短すぎると、評価のための業務負担が大きくなってしまう可能性があります。
Q. 人事評価の結果は、どのように従業員に伝えれば良いですか?
A. 人事評価の結果は、評価者から従業員に対して、直接伝えるようにしましょう。その際、評価結果だけでなく、評価に至った理由や、今後の改善点などを具体的に伝えることが重要です。また、従業員からの意見にも耳を傾け、双方向のコミュニケーションを心がけましょう。
まとめ|人事評価シートを活用して、飲食店経営を成功させよう!
今回は、飲食店における人事評価の重要性や、人事評価シートの作り方、活用方法などを解説してきました。人事評価シートは、貴重な人材の従業員のモチベーション向上や人材育成、離職率の低下などに繋がる効果が期待できます。
本記事で紹介した無料テンプレートを参考に、ぜひ人事評価シートを作成し、貴店でも活用してみてください。
この記事を書いたライター
Newton編集部
飲食店の人事に役立つ情報を発信していきます。人材から人材へ、人が育つ人事評価システムNewtonとは、飲食店に特化したタレントマネジメント+人事評価システムです。
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