能力評価とは?人事評価に導入するメリットやデメリット・導入の注意点まで解説
2024/08/20
能力評価とは?人事評価に導入するメリットやデメリット・導入の注意点まで解説
人事評価制度には主に3つの評価基準があります。
数値化できる明確な成果を評価する「業績評価(成果評価)」、業務へのスキルや知識・資格を評価する「能力評価」、勤務態度や姿勢を評価する「情意評価」に分かれていますが、この中で実際の業務に直結するのが「能力評価」です。
能力評価は、業務を遂行するための技術や能力を元に従業員を評価するものです。
従業員の処遇を決めたり、人材育成に役立てたり、従業員に対してのさまざまなアクションの根拠として取り扱われます。
本記事では、人事評価に能力評価を導入するメリットやデメリットの他、導入の際の注意点を解説します。
能力評価とは
人事評価制度の評価項目は、先述の通り「業績評価」「能力評価」「情意評価」の3つがあり、その中でも能力評価は対象の能力が多岐に渡ります。
能力評価とは、業務遂行に必要なスキルや能力を評価する人事評価基準で、従業員が、与えられた職務に対して、いかに能力を発揮し遂行しているか(職能)を評価の対象とします。
長期的な社員の意識向上や育成を目的としており、必要な知識や技能などが評価の対象になります。
その他にも、潜在的な能力として企画力、折衝能力、理解力も含まれます。
能力評価により上司が各従業員の業務遂行能力を可視化し把握できたり、仕事への適応性を判断できるようになると、仕事と人材のミスマッチが減り、社員のモチベーション向上や早期離職対策に繋がります。
個人の成長を効率よくサポートでき、キャリア形成に活かせるのもメリットです。
業績評価のような明確な基準を設けにくく、評価基準が曖昧になってしまうと不信感に繋がってしまうため、評価シートへの書き方には注意が必要です。
人事評価はおもに3つの人事評価項目から成り立つ
先に述べた能力評価以外にも、人事評価の評価基準は下記の2つが挙げられます。
能力評価を含めた3つを総合的に評価します。
- 業績評価(成果評価)
- 情意評価
それぞれ説明します。
業績評価
業績評価、成果評価は、従業員の一定期間における会社への目的達成度などの貢献度を評価する方法です。
成果や目標の達成・成長度合い、成果に至るまでのプロセスを部門や個人単位で評価し、目標に対する達成度を評価します。
実績は数値として表すことができるため、明確な判断基準を設けられるのが特徴です。
情意評価
情意評価とは、従業員の勤務態度、規律性、責任感、協調性、積極性など、仕事に対する姿勢を評価する方法です。
業績評価や能力評価と比べると一番主観の入りやすい評価項目で、定量化できないため評価者の主観が入りやすいのが注意点です。
客観的に判断するために、評価項目をしっかりと設定した上で、上司だけでなく、同僚や部下、取引先など、あらゆる立場の人から評価を集めることで、より正確な評価が下せるでしょう。
能力評価の評価項目例と評価基準
能力評価の項目は業種や企業によって異なりますが、ここでは基本的な能力評価の項目の具体例をご紹介します。
- 企画力:さまざまな業務や計画において、アイデアや企画を出して解決策を提示できる能力
- 計画力:業務の優先順位を把握し、納期に間に合うような業務計画を立てられる能力
- 交渉力:交渉相手に対し、自身の意見を伝えながらお互いに納得できる着地点を提示できる能力
- 実行力:目標や目的を達成するために綿密な計画を作り、それを実行する能力
- 改善力:日々の業務において、改善を続けより良い方向に向かうことができる能力
- 指導力:リーダーシップを発揮し、適切な指導ができる能力
- 判断力(適応力):トラブル発生時に、焦らず適切な対処・対応ができる能力
- 理解力:会社や上司の指示や業務内容に対して的確な理解を示し、業務に反映させることができる能力
- 人間関係力:人間関係を円滑にこなし、モラルを保った行動ができる能力
- 知識力:担当業務に限らず幅広い知識を有し、目的や業務の遂行に活かす能力
上記を元に、能力評価の評価項目を作成するのがおすすめです。
能力評価を評価制度に導入するメリット
能力評価の実施により、企業側が得られるメリットが存在します。
- 業務への適正を判断できる
- 人材育成に役立つ
- 評価の納得度が高まる
ここでは能力評価を人事評価に導入することによる影響を、上記3つをご紹介します。
業務への適正を判断できる
能力評価によって、各従業員にどのような仕事が向いているのか、どの部署の業務なら能力を発揮できるのかを可視化できます。
能力評価を通して従業員一人ひとりの能力が把握できるので、業務内容の適正を判断することができ、人材配置に活かすことができます。
人材の適材適所が実現されれば、業務効率化も期待できるでしょう。
人材育成に役立つ
能力評価によって、個人のスキルや能力の評価基準が可視化できます。
従業員自身が、成果を出し評価を高めるにはどうすれば良いか理解することができ、意欲的にスキルアップのための行動が取れるようになるでしょう。
さらにその行動が評価されることでモチベーションが高まり、効率良くスキルアップを目指すことができるという、良い連鎖が発生しやすくなります。
評価の納得度が高まる
能力評価の実施により、人事評価の評価軸や結果についての根拠が明確になります。
そのため従業員が評価結果に納得しやすくなります。
より良い評価をされるための目的や目標を理解できれば、従業員は待遇にも納得しやすく、業務に取り組む姿勢が改善します。
結果、仕事に対する意欲も湧いてくるでしょう。
能力評価を評価制度に導入するデメリット
能力評価の実施によるメリットは多いですが、下記のようなデメリットも存在します。
- 評価に不満が出る可能性がある
- 評価基準が曖昧になりやすい
- 評価される仕事しかしなくなる可能性がある
それぞれ見ていきましょう。
評価に不満が出る可能性がある
能力評価は、人が人を評価する構造です。
そのため、評価する人によって評価基準が異なったり、年功序列により、年齢に評価が左右される可能性もあります。
公平性がない評価をしてしまうと、従業員は評価結果に納得できず、不信感を持ってしまいます。
このように公平性のない評価はモチベーションの低下を招き、離職率の増加にも繋がりかねません。
評価の際は、評価基準や評価項目を明確化し、公平・公正な評価を行うようにしましょう。
評価基準が曖昧になりやすい
能力評価は、数字や明確な実績によって評価する業績評価(成果評価)と違い、定量化しづらい評価項目です。
そのため、評価者によって評価に偏りやバラつきが出やすく、曖昧さが発生しやすい部分があります。
このような事態を回避するために、社内で評価者の認識統一のための指導や研修などを実施したり、能力評価だけでなく、他の業績評価や行動評価も併用し、最終的な評価を決定するのがおすすめです。
能力評価を正確に運用するためのポイント
評価基準が曖昧になりやすい能力評価を、正確におこなうためのポイントを紹介します。
- 評価は客観的、公平に行う
- 評価エラーに注意する
- 年功的評価にならないように気をつける
評価者は、上記3つのポイントに気を付けて評価をおこないましょう。
評価は客観的、公平に行う
先述のように、能力評価は客観的かつ公平におこなう必要があります。
まず客観性を持たせるためは、評価項目や評価基準を具体的に決めておくことが重要です。
評価者によって評価に違い出てしまうことのないよう、基準を確立しておきましょう。
もちろん評価者の訓練や教育も重要ですが、評価者は個人の感情で人を判断をしない事務的な人間が適しています。
評価者のバイアスや先入観が、評価に入り込まないよう工夫が必要です。
次に公平性を保つには、経営状況や経営戦略などの変化に応じて、その都度、評価項目を見直す必要があります。
より公平性のある評価にするためにも、360度評価や業績評価など、他の評価方法も取り入れましょう。
人事評価エラーに注意する
人事評価をおこなう際には、人事評価エラー(心理的要因による誤った評価)に注意しましょう。
人事評価エラーには、無難な評価をしてしまう「中心化傾向」や、一つの評価が他の評価に影響を及ぼす「ハロー効果」などがあります。
人事評価エラーを避けるためにも、評価者には育成研修を行い、評価時の注意点を理解してもらうようにしましょう。
年功的評価にならないように気をつける
人事評価は、従来の年功的評価に偏りがちな場合があります。
能力評価では、年齢や勤続年数に依存する年功的評価にならないよう特に注意しましょう。
業務においての能力を基準に判断し、公平に評価をするよう意識する必要があります。
能力評価シートの具体的な書き方
能力評価シートは、基本的に上司からのフィードバックで構成されますが、評価される本人が自己評価を記入することもあります。
どちらの場合も、評価の基準となる具体的な数値を用いることで客観性を感じられ、目標とそれに向けたプロセスも明示しやすくなるでしょう。
能力評価シートの構成が分からないときは、厚生労働省のサイトに公開されている「職業能力評価シート」も活用するのがおすすめです。
能力評価の仕組みを理解して適切な人事評価を
能力評価は、従業員が持つ能力やスキルを評価するものです。
しっかりと仕組みを理解し、適切に活用することでさまざまなメリットを得られますが、公平性や客観性を欠いた評価を行ってしまうと逆効果です。
従業員の能力を適材適所で活かすためにも、正確かつ適切な人事評価を行い、従業員のモチベーションを高めましょう。
公平公正な人事評価を行う際には人事評価ツールを活用するのがおすすめです。
人事評価ツールNewton(ニュートン)を活用すれば、複数人による評価を自動取得でき、評価者の納得度も高まるでしょう。
また、社員教育や給与水準に対しての課題、個人の評価も見やすく多くの情報量を瞬時に判断できるシステムで、顧客満足度の向上・生産性の向上を兼ね備えた詳細な評価制度が特徴です。
適切な能力評価による人事評価制度に注力したいとお考えの方は、ぜひニュートンをご活用ください。
この記事を書いたライター
Newton編集部
飲食店の人事に役立つ情報を発信していきます。人材から人材へ、人が育つ人事評価システムNewtonとは、飲食店に特化したタレントマネジメント+人事評価システムです。
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