OKRとは?人事評価制度との関係性や、連動させた場合のメリットデメリットを詳しく解説!
2024/12/06
「OKR(Objectives and Key Results)」は、近年ビジネス界で注目を集めている、組織全体で効果的に目標を達成するための目標設定・目標管理のフレームワークで、Googleやインテルなどの有名企業をはじめとして、多くの企業で採用されています。
OKRを導入することで従業員の意欲を高めることができるといったメリットが存在するため、人事評価制度の改定を検討する際にはOKRの導入が選択肢に挙がるケースも多いでしょう。
本記事では、OKRの基本と、導入・運用する際に人事評価と連動させるメリットデメリットを紹介します。
他の目標管理制度との併用や実際の企業における事例も解説するので、ぜひ参考にしてください。
OKRとは
OKRは、「Objectives and Key Results」の略称で、業績評価制度の一つです。
目標設定と成果の管理のフレームワークを指します。
組織や個人が目指す目標(Objective)と、それを達成するための定量的な成果達成指標(Key Results)を定めて、進捗を追いながら成果を上げていく方法で、この2つの要素をもとにして業績を評価し、進捗を定期的に確認・改善していきます。
具体的には、OKRは以下のように業績評価に活用されます。
- 目標設定:各チームや個人が挑戦的、意欲的、且つ定性的な目標(Objective)を設定します。
- 成果指標の設定:目標達成のために必要な成果(Key Results)を具体的な数値や達成基準として定めます。
- 進捗評価:定期的に進捗を評価し、目標に対する達成度を測定します。
- フィードバックと改善:評価を元に次のサイクルに向けて改善策を講じ、再度目標設定を行います。
OKRは定期的に見直し・更新されることが多く、特に成長を重視する企業やチームでよく使われます。
業績評価制度として個人やチームの成果を明確にし、全体の目標と個々の貢献度を一貫性を持って管理できるため、目標達成に向けた動機づけや効率的な成果向上が期待されます。
OKRの目的とメリット
OKR(Objectives and Key Results)の目的は、「組織やチーム、個人が明確な目標に向かって一貫して努力し、その進捗を測定しながら成果を最大化すること」です。
目標を明確にし、進捗と貢献度を定期的に評価することで、成果を最大化し、組織や個人の成長を促進することです。
主なメリットは以下のとおりです。
- 目標の明確化と共有
- 成果の測定と管理
- 挑戦的な目標設定
- 透明性とコミュニケーションの強化
- 集中と優先順位の明確化
- 柔軟な調整と改善
具体的に解説します。
目標の明確化と共有
OKRは、組織全体で共有する目標を明確に定めることで、全員が同じ方向に一丸となって進むように促すことができます。
これにより、個々の役割がどのように全体目標に貢献しているのかがわかりやすくなります。
成果の測定と管理
「Key Results(重要な結果)」を数値や具体的な成果基準で設定することで、進捗を客観的に可視化して測定することができます。
数値で成果を測るため、達成度を明確に把握しやすく、改善が必要な点を早期に発見し、迅速な対応が可能になります。
挑戦的な目標設定
OKRでは、単に「達成可能な目標」ではなく、挑戦的で意欲を引き出すようなチャレンジングな目標(Objective)を設定します。
この挑戦的な目標によって、組織やチームの成長を促進し、イノベーションを生み出す原動力になります。
透明性とコミュニケーションの強化
OKRは、定期的に進捗を共有し、フィードバックをおこなうことで、組織・職場内のコミュニケーションを活性化させることも目的です。
OKRは通常、組織全体で共有されるため、誰がどのような目標に取り組んでいるのかが明確になります。
上司と部下で目標と成果を共有することで、組織内の透明性が高まり、協力や連携が促進され、納得感も高まります。
集中と優先順位の明確化
OKRは、限られたリソースで最大の成果を上げるために、最も重要な目標に集中することを促します。
これにより、組織が効率的に動き、重要な成果にフォーカスできるようになります。
柔軟な調整と改善
OKRは四半期ごとに設定され、進捗を評価した後、次のサイクルで改善点を反映させることができます。
この柔軟な調整によって、環境の変化や新たな課題に対応することが可能です。
OKRと人事評価制度(MBO・KPI)との関係性
OKRと人事評価制度(MBOやKPI)は、目標設定と業績評価の手法として似た点もありますが、アプローチや目的が異なります。
ここからは、以下の関係性についてまとめます。
- OKRとMBO(Management by Objectives)の関係
- OKRとKPI(Key Performance Indicators)の関係
- OKRと人事評価制度の違い
詳しく見ていきましょう。
OKRとMBO(Management by Objectives)の関係
MBO(目標管理制度)とは、「Management By Objectives」の略で、直訳すると「目標による管理」のことです。
MBOは、主に個人やチームの目標を達成することに焦点を当てた制度で、目標達成度に基づいて評価をおこないます。
OKRも目標を設定する点では似ていますが、MBOは目標設定と評価が「トップダウン型」であることが多く、目標達成度の評価基準が比較的固定的で、結果に対して報酬や昇進が直接リンクすることが一般的です。
一方、OKRは、目標設定のプロセスが柔軟で、挑戦的な目標を設定し、達成度を数値化して進捗を管理します。
OKRは、通常、「組織全体やチームの目標と個人の目標をリンクさせる」ことを重視し、組織全体の方向性を共有する点が特徴です。
また、OKRでは「達成度が100%でなくてもOK」とされ、挑戦的な目標に対して高い達成度を目指し、失敗から学ぶ文化を促進します。
OKRとKPI(Key Performance Indicators)の関係
KPI(重要業績評価指標)は、特定の業務やプロジェクトのパフォーマンスを測るための指標であり、主に成果を定量的に評価するために使用されます。
OKRにおける「Key Results」に似ていますが、KPIは通常、具体的な「業務の達成度を測定」するものです。
OKRの「Key Results」はKPIより広範で、挑戦的な目標を支援するための指標となります。
OKRにおけるKey Resultsは、KPIよりも「目標達成のプロセス」に焦点を当てており、必ずしも数値目標だけではなく、成果に焦点を当てます。
そのためOKRは、KPIよりもより高い視点から目標を設定し、組織のビジョンや戦略に基づいた大きな目標を達成するための道筋を示しています。
OKRと人事評価制度の違い
MBOやKPIが業績評価に直結し、成果主義的な評価を強調するのに対して、OKRは評価だけでなく、学びと成長の過程を重視します。
OKRでは、目標を達成しなくても進捗が評価されることがあり、失敗や挑戦から得られる学びを重視します。
また、OKRは通常、四半期単位で評価され、進捗に合わせて目標や戦略を柔軟に調整できます。
そのため、OKRと人事評価や報酬は切り離すべきという考え方もあります。
これに対し、MBOやKPIは年単位で設定されることが多く、そのため変更が少なく、評価が比較的固定的です。
OKRと人事評価を連動させた場合のメリットとデメリット
OKRと人事評価を連動させることには、組織の目標達成を支援するだけでなく、社員のモチベーションや成長を促進する効果も期待できるというメリットがありますが、一方でデメリットやリスクもいくつか存在します。
また評価の公平性や柔軟性を欠く可能性があります。
OKRと人事評価を連動させた場合のメリット
OKRと人事評価を連動させた場合のメリットは以下のとおりです。
- 目標達成の明確化と一貫性の向上
- パフォーマンス向上と成果主義の促進
- 柔軟なフィードバックによる適応力の向上
詳しく解説します。
目標達成の明確化と一貫性の向上
OKRと人事評価を連動させることで、組織全体の目標と個人の評価基準を一致させ、全員が同じ方向に向かって努力することができます。
これにより、目標の達成度が明確になり、組織の戦略と個人の貢献が一貫して評価されるため、成果が上がりやすくなります。
さらに個人の目標と組織の目標がリンクし、目標達成のために具体的にどのようなアクションが必要かが明確になります。社員は自分の役割を理解しやすくなり、評価に向けた具体的な行動計画を立てやすくなるでしょう。
パフォーマンス向上と成果主義の促進
OKRに基づいて人事評価を行うと、目標に対する成果が評価基準になるため、成果主義が強化されます。
達成した目標に対して報酬や昇進などのインセンティブが結びつくことで、社員のパフォーマンス向上が期待できます。
柔軟なフィードバックによる適応力の向上
OKRは四半期ごとに見直され、進捗を確認しながら目標の調整が可能です。
この柔軟性を人事評価に組み込むことで、中間評価や定期的なフィードバックを通じて、社員は自分の進捗を把握し、必要な改善を早期に行うことができます。
評価が年に一度だけでなく、定期的に行われるため、成長が促進されます。
またOKRは、環境の変化に応じて目標を見直すことができるため、組織の状況や市場の変化に対応しやすくなります。
社員は変化に適応しやすくなり、組織全体の対応力が高まります。
OKRと人事評価を連動させた場合のデメリット
OKRと人事評価を連動させた場合のデメリットは以下のとおりです。
- 過度なプレッシャーがかかる可能性
- 目標設定の不均衡
- 結果主義の強化による過剰な評価依存
詳しく解説します。
過度なプレッシャーがかかる可能性
OKRは、挑戦的で野心的な目標を設定することが一般的であるため、社員が達成できない目標に対するプレッシャーを感じることがあります。
特に、OKRの達成度が直接的な昇進や報酬に結びつく場合、目標未達成に対する心理的負担が大きくなり、モチベーションの低下の原因となることがあるでしょう。
目標設定の不均衡
OKRの目標設定が過度に挑戦的である場合、社員が不公平感を抱くことがあります。
例えば、各部署やチームで目標設定の難易度に差がある場合、あるチームは容易に目標を達成できても、別のチームは不可能に近い目標を設定されることもあります。
このような不均衡が評価に反映されると、社員間で不満や不公平感が生まれる可能性があります。
結果主義の強化による過剰な評価依存
OKRが人事評価に密接に関連していると、社員が評価に過度に依存するようになり、「どう評価されるか」を最優先に考えてしまうことがあります。
これが過剰になると、社員が自分の成長や学びよりも、評価されることにのみ焦点を当て、結果として自己成長や本質的な成果の追求が疎かになる可能性があります。
また、結果主義の強化の影響により、社員は「目標を達成することが最優先」となりがちです。
過程や方法論よりも結果だけが重視され、不正行為や短期的な対策(例:目標達成のために不正確な手段を取る、他の人の成果を奪うなど)を招くリスクがあったり、組織の長期的な戦略や文化が疎かになることもあるでしょう。
OKRの導入事例
OKR(Objectives and Key Results)の導入事例は、特に成長志向の企業やイノベーションを推進している企業で多く見られます。
代表的な導入事例2社について、目的・特徴・成果ごとに紹介します。
1.Google
GoogleはOKRの最も有名な導入事例です。
創業者は、インテルの元CEOであるアンディ・グローブからOKRを学び、Googleに導入しました。
目的
Googleでは、OKRを使って、組織全体の目標を共有し、社員に明確な方向性を示すことを重視
特徴
- OKRは四半期ごとに設定され、目標が達成されるかどうかは数値で評価される
- OKRの目標設定にはチャレンジングで野心的な目標が含まれ、達成度が100%でなくても良いとされている
- OKRはチーム全体で共有され、各個人がどの目標に取り組んでいるかが明確にわかるため、全員が同じ方向を目指して協力しやすくなる
成果
OKRを導入することで、Googleは迅速な成長を実現し、社員のモチベーションを高め、組織全体でイノベーションを推進する文化を築くことができた。
2.Intel
OKRはもともとIntelで生まれたものであり、創業者のアンディ・グローブが実践的に導入したのが始まりです。
IntelではOKRを使って、成長の方向性を明確にし、会社全体を一貫して進ませるために活用しました。
目的
Intelでは、OKRを使って、社員一人ひとりの目標が会社全体の戦略にどうつながるかを明確にし、組織の一体感を生み出している
特徴
- OKRの「Key Results(重要な結果)」は、単なる数値目標だけでなく、具体的な成果を示すものとして設定された
- 結果的に、OKRは企業の成長を促進し、各部門やチームの目標が全体戦略と一致するように調整された
成果
IntelはOKRによって、競争力を維持し、革新を続けながら迅速に市場の変化に対応できる組織文化を作り上げた
人事評価にツール導入でOKRの最大の効果を
OKRを導入した企業は、透明性の向上、目標の明確化、モチベーション向上、迅速な意思決定など、多くのメリットを享受しています。
特にGoogleやIntelなどはOKRを効果的に活用し、急成長を遂げました。
OKRは、組織全体の目標達成に向けた一貫した方向性を提供し、社員一人ひとりの成果を具体的に測定できるため、特に成長や変革を求める企業にとって非常に有効な手法となっています。
OKRは短い期間で振り返りをおこなうため、その分労力がかかることがあり、全社的な取り組みが必要になります。
効率的な運用や既存の人事評価制度との併用のためには【システム化】がおすすめです。
ツール導入しシステム化することで、評価の質や納得度が向上し、よりスムーズに人材育成システムの戦略人事に展開し、組織開発の促進につなげることが可能です。
「人事評価ツールNewton(ニュートン)」は各従業員のOKRの設定から、進捗管理と評価までをシンプルに管理できるため、社員一人ひとりの成長をサポートする体制を、評価の公正性や透明性を保ちながら整え、情報を一元管理することができます。
過程やプロセスにも焦点を当てることで、持続的な成長を促進し、社員のエンゲージメントやチームワークの向上にも繋がるでしょう。
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この記事を書いたライター
Newton編集部
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