人事評価の低い社員が辞める理由とは?モチベーションの低下を防ぐ対処法も紹介!
2024/11/11
人事評価において、上司と部下との信頼関係は非常に大切なポイントです。
信頼関係が構築されていなかった場合、人事評価の結果がよくなかった際に、評価内容について納得ができず、モチベーションや生産性の低下、最悪の場合は退職につながってしまうこともあります。
本記事では、人事評価が低い社員が辞めてしまう理由とその原因、また社員のモチベーション低下やトラブルを防ぐための注意点・対策法もご紹介します。
不満の出やすい「やってはいけない」人事評価についてもまとめたので、公平な人事評価に課題を感じている方はぜひご活用ください。
人事評価の低い社員が不満を持つ理由
人事評価では、成果・能力・情意のバランスを考え、結果だけでなく、仕事に取り組む姿勢も客観的に評価する必要がありますが、この人事評価にはどうしても不満はつきものです。とはいえ会社としてはなるべく改善の対応をし、育成していきたい部分でもあります。
人事評価の低い社員が不満を持つには以下のような理由か考えられます。
- 評価基準が曖昧
- 自己評価との乖離
- 評価者を信頼できない
- 評価が処遇に反映されない
ひとつずつ解説します。
評価基準が曖昧
人事評価で社員が不満を持つ大きな理由の一つに、評価基準が曖昧という点が挙げられます。
なぜその評価になったのかが理解できないと、社員も努力の方向性がわからず、自社に対し不信感を抱いたり、モチベーション低下に繋がったりする可能性があります。
評価者と従業員の感覚のズレを修正するためにも、評価基準は明確にするよう心がけ、なるべく数値化するなど工夫しましょう。
自己評価との乖離
社員が自分自身を高く見積もっている場合、実際の評価結果に不満を持つ可能性があります。
評価が低い理由がわからなければ、社員の不満を高めてしまうでしょう。
自己評価が実績より高い社員に対しては、評価者がなぜこのような評価結果を出したのか、説明やフィードバックをおこなうのがおすすめです。
前向きな声かけやフォローを合わせて徹底するようにしましょう。
評価者を信頼できない
上司や人事と社員の間に信頼関係ができているかどうかも大切なポイントです。
人事評価をおこなう評価者と部下とのコミュニケーションが不足していてフィードバックが不十分な場合や、伝え方に気を回すことができなかった場合、不満が生まれやすいとされています。
評価者が部下から信頼されていない場合、評価内容についても納得感が得られず、やる気を失う原因にもなりかねません。
また、評価する上司が現場を知らないと、社員が不満を溜める原因になります。
自分を評価する人を信用できなければ、部下はモチベーションをなくしてしまい、離職につながってしまうことが考えられます。
評価が処遇に反映されない
人事評価でよい評価を得たにもかかわらず、昇給や昇格など処遇に反映されないケースも、社員が不満を持つ理由の一つです。
たとえ評価が公平公正なものであっても、評価結果が昇給や昇格に反映されない制度では、「がんばっても給与が上がらないからやる気をなくす」といった影響を与えてしまい、従業員のモチベーションを維持するのは難しくなります。
評価がどのように処遇に反映されるかを明確にし、どれくらいの基準を達成したらどれくらいの報酬や等級に値するのかなどを数値化しておくことが納得感に繋がるでしょう。
人事評価への不満がもたらす影響
人事評価への不満は、個人だけでなく組織全体に大きな影響を与える可能性があります。
評価システムの透明性と公平性を確保する手法をとり、フィードバックや改善の機会を設けることが、社員の不満を減らし、組織の健全な運営に繋がるでしょう。
- モチベーション低下
- 離職率の上昇
- 職場の人間関係の悪化
詳しく見ていきましょう。
モチベーション低下
人事評価の結果に対し、不公平に感じたり、自分の努力が評価されていないと感じることで、社員のモチベーションが大きく低下し、業務のパフォーマンスにも大きな影響を与えます。
評価に対して不満がある社員は、組織に対する信頼感が薄れ、自分がいくら努力しても報われないと認識してしまうため積極的な貢献をしなくなることが多く、結果として仕事の効率や成果も停滞する恐れがあります。
モチベーションが下がることにより自己成長もなくなるため大きな仕事を任せてもらうこともなくなり、スキルや収入も上がらないという悪循環に陥ってしまう可能性があります。
離職率の上昇
人事評価のシステムが公平で透明でないと、会社全体の評価システムやマネジメントに対する信頼が低下します。
社員は組織の方針に対して疑念を抱くようになり、結果として組織文化が弱体化する可能性があります。
評価に不満を持つ社員が、組織に対する不信感を抱くようになると、最終的には転職を考えることが増え、離職率が上がる可能性があります。多くの場合、優秀な社員が転職の決断をしがちです。組織にとっては大きな損失となるでしょう。
職場の人間関係の悪化
上司と部下の関係が悪化し、コミュニケーションが取りづらくなることで、業務の遂行に支障をきたすこともあります。
特に評価の不公平感が人間関係に影響を与え、チームの信頼関係が損なわれ、トラブルにつながることがあります。
不満が蓄積されると、職場内での対立や摩擦が増え、コミュニケーションが減ることでチームワークが乱れ、協力が困難になるのが問題点です。
この点は特に注意が必要でしょう。
不満の出やすい人事評価(評価エラー)
人事評価で「評価エラー」がある場合に、社員からの不満が出やすいとされています。評価エラーとは、評価者の主観や感情により、実際とは異なる誤った評価を下してしまうことを指します。
人事評価をおこなう際には、これらの評価エラーがないか十分に確認する必要があります。
ここでは、よく挙げられる7つの評価エラーを紹介します。
- ハロー効果
- 中心化傾向
- 寛大化傾向
- 厳格化傾向
- 極端化傾向
- 論理誤差
- 対比誤差
詳しく解説しますので、これらの要素をなくすように徹底しましょう。
ハロー効果
「ハロー効果」は、人事評価や心理学の分野で使われる効果の一つです。
特定の人物や対象の全体的な印象が、その人物の特定の評価や属性に影響を与える現象を指します。
例えば、ある社員が非常に明るくて社交的で、人間関係が得意な場合、その「よい印象」が他の仕事のパフォーマンスやスキルにも影響を与え、その社員が実際にはあまり業務を効率的にこなしていない場合でも、「彼は人間関係がよいから、仕事もできるだろう」と合わせて評価してしまうことです。
この場合、社員の特定の長所が全体的な評価に影響を与えて、他の側面(業務能力、成果、勤勉さなど)の評価が不正確になってしまいます。
中心化傾向
「中心化傾向」とは、人事評価において、公正であることを意識しすぎるあまり、評価者が評価を極端な良い評価や悪い評価に偏らせることを避け、無難な中心化した評価=中間的な評価を選びがちな傾向のことを指します。
これにより、全ての従業員が「平均的」とされる結果になり、個々の社員の実際のパフォーマンスが適切に反映されなくなってしまいます。
このような評価を行うと、実際の成果や業務能力が正確に反映されなくなり、評価が不正確になるため、社員の実績や努力が十分に認識されないことに繋がります。
寛大化傾向
「寛大化傾向」は、人事評価において評価者が評価対象者に対して過剰に甘く、よい評価を与えがちな心理的偏りを指します。つまり、実際のパフォーマンスや成果にかかわらず、評価が優れたものと見なされる傾向です。
評価者が部下や同僚に対して好意的であったり、良好な関係を保ちたいと思うあまり、厳しい評価を避け、寛大な評価をしてしまう場合や、あまりにも低い評価をつけると、後で不平や不満を言われることを恐れ、あまりに高い評価をつけることで問題を避けようとする心理が働く場合もあります。
最悪の場合、全ての社員が「よい評価」を受けることになり、実際のパフォーマンス差が反映されません。
これにより、優秀な社員が適切に評価されず、業績が不十分な社員の評価が高くなる可能性が生じます。
厳格化傾向
「厳格化傾向」とは、人事評価において評価者が評価対象者に対して過剰に厳しく、低い評価を与えがちな心理的偏りを指します。実際のパフォーマンスより低い評価となり、よい仕事をしている社員であっても、評価が不当に低くなる現象です。
評価者が自身の基準を非常に高く持っている場合に、社員がその基準に達しないと感じると、厳しめの評価をしてしまうことがあります。
また評価者が特定の社員に対して高い期待を抱いている場合、その期待に応えられていないと感じると、評価を厳しくする傾向があります。
組織や部門に「成果主義」「高い業績基準」が強調される文化がある場合も、評価者もその影響を受け、成果が不十分と感じた場合に過剰に厳しい評価をしてしまうことがあるでしょう。
極端化傾向
「極端化傾向」とは、人事評価において評価者が評価を極端な方向に偏らせる傾向のことを指します。
評価者が社員のパフォーマンスを実際よりもよい、または悪いと感じ、全体的な評価が極端なものになってしまうことで、平均的な評価や中間的な評価を避ける現象です。
評価者本人が「極端な評価の方がわかりやすい」と無意識に思い込んでいる場合、全ての社員に対して極端な評価をつけることがあります。
また、評価の結果が重要な意味を持つ場合(昇進、賞与など)、評価者が失敗を避けたいというプレッシャーから、過剰に低い評価(失敗を避けるため)や高い評価(リスクを避けるため)をしてしまうことがあります。
論理誤差
「論理誤差」とは、人事評価において評価者が論理的に不正確な思考や推論を基にして評価を行うことを指します。評価者が社員のパフォーマンスを判断する際に、事実や具体的な証拠に基づくのではなく、論理的に誤った前提や関連性のない要素を評価に持ち込むことです。これにより、実際の業績や能力が適切に反映されず、不正確な評価をしてしまうことがあります。
評価者が、個人的な感情や無意識に持つ先入観や偏見、不完全な情報に左右され、論理的な判断ができなくなる場合に起きやすくなります。
対比誤差
「対比誤差」とは、人事評価において、評価者がある社員のパフォーマンスを他の社員と比較することで、実際の業績や能力を不正確に評価してしまう現象です。
評価者が、他の社員の業績やパフォーマンスと比較して評価したり、評価対象者を「他の社員と比べてどうか?」という観点で評価してしまうため、その社員が本来持っているパフォーマンスや能力とは異なる基準で評価される可能性があります。
評価者が評価の基準を明確に持っていない場合、他の社員との比較によって評価が歪むことが多くなります。
基準があいまいな場合、最も印象に残った社員と比較して評価してしまうことがあるでしょう。また複数の社員を評価する際、評価者が評価の順番を覚えていない場合や、評価対象者が他の社員の直後に評価されると、前の社員との比較に引きずられやすくなります。
人は自然に「相対的」に物事を評価する傾向があり、特に同じ時期に複数の評価を行っている場合、比較が強く影響するため注意が必要です。
社員のモチベーション低下を防ぐためにできること
モチベーションが低くなった社員は離職の決断に繋がることも多く、対策・対応が急務です。評価エラーを無くすのはもちろんのこと、問題点を解決し、社員のやる気を引き出し、生産性を高めるためのポイント・注意点について解説します。
- 評価基準を明確にする
- 適材適所の人材配置を行う
- コミュニケーションとフィードバックをしっかりとおこなう
- 人事評価に基づいて正しく処遇する
詳しく解説いたします。
評価基準を明確にする
人事評価をおこなう際、何を基準に評価をしているのか、人事評価基準を部下としっかりと共有する必要があります。
部下それぞれに求められている姿を提示し徹底的に共有することが、上司と部下の意見のズレの解消に効果的でしょう。
評価基準をしっかりと数値化し、目標設定を明確にした人事評価のシステムを作成することで部下は仕事に対してモチベーション高く取り組むことができます。
適材適所の人材配置を行う
人事評価において、社員一人ひとりの能力や特性を正確に理解し、その社員に最適な役割や職務・職種に配置することは、組織全体の効率性や生産性、業績、社員の満足度を向上させるための基本的な戦略です。
適正な人事により本人が得意とする分野や興味のある最適な業務に従事することで、社員はやりがいを感じ、モチベーションが向上します。
しかし適材適所でない配置がされている場合、社員はその役割に必要なスキルや知識が不足していたり、逆に業務内容に興味がなかったりするため、パフォーマンスが低下し、無駄な努力や時間が浪費される可能性があります。
コミュニケーションとフィードバックをしっかりとおこなう
優秀な評価者は対話量が多いといわれており、コメントやフィードバックでは前向きな内容も伝えるのが大事なポイントです。
定期的な面談で丁寧にヒアリングを重ね、対話や質問の量を増やし関係性を強化することで、上司と部下との評価に対するギャップが少なくなり、評価への不満が積もって突然離職するケースが減るとされています。
注意点としては、伝え方を意識することです。
よい点があれば見逃さずに積極的に褒め、悪い点は、対策を含めて励まし教育するように心がけましょう。
人事評価に基づいて正しく処遇する
処遇とは、報酬、昇進、賞与、昇給、評価など、社員の業務に対する対価や評価を意味します。適切な処遇を行うことで、組織は次のような重要なメリットを享受できます。
正当に評価された社員は、その努力や業績が認められたことに満足し、さらに高いモチベーションで仕事に取り組むことができ、「スキルを高めれば報われる」という意識を持つことで、自己投資や学習への意欲・やる気も高まります。
逆に、不公平な処遇が行われると、社員は会社の対応に不満を感じ、仕事への意欲が低下し、他の職場を探し始めて組織からの離職が進む可能性もあるでしょう。
「ニュートン」で人事評価によるモチベーション低下を防ぐ
社員のモチベーションの低下を防ぐには、人事評価を正しく徹底して運用することが大切です。
自社の人事評価にエラーがないか定期的に見直しをおこなうことが重要です。
社員のパフォーマンスを最大限に活かすことにつながります。
評価基準をわかりやすく明確にし、適材適所の人材配置をおこなうためには、仕組み化されている人事評価ツールの活用が便利でしょう。
納得度の高い人事評価制度により組織の成長に繋がる人材育成を目指したいなら、タレントマネジメントや人材育成に特化した特許取得済の人事評価システム「ニュートン」がおすすめです。
お気軽にお問い合わせください。
この記事を書いたライター
Newton編集部
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