人事評価制度の作り方を解説!基本のステップや作る際のポイント・注意点も紹介
2024/10/18
現代の企業の組織の効率性や従業員の満足度を向上させるためには、人事評価制度は欠かせないものとなっています。しかし、効率的に活用できなければ、従業員の不信感を煽り、離職にも繋がりかねません。
そこで本記事では、人事評価制度の作り方を中心に詳しく解説します。まず何から取り組めばいいのか?どうすれば失敗しないのか?など、基本からポイントを押さえて解説します。導入を検討している人事担当者の方はぜひ参考にしてください。
人事評価制度とは
人事評価制度は、組織の目標達成に貢献するために従業員のパフォーマンスを適切に評価し、改善を促進するための重要な制度です。
従業員の業績や能力を体系的に評価し、評価制度や等級制度、報酬制度に反映させる仕組みで、組織の目標達成や従業員の成長を支援するシステムです。
社員一人一人の能力やパフォーマンス(貢献発揮)などを評価し、等級や賃金に反映させます。適切に運用されることで、従業員のモチベーションやエンゲージメントが高まり、組織全体のパフォーマンス向上に繋がります。
人事評価制度の種類
そもそも人事評価制度には、どのような種類があるでしょうか。
人事評価は「能力評価」「業績評価」「情意評価」という3種類で構成されており、これら3つは相互関係にあります。
能力評価
能力評価は、従業員のスキルや知識、能力を評価する方法で、従業員が持つ技術的なスキル、専門知識、問題解決能力、リーダーシップ能力など、職務遂行に必要な能力を評価します。
評価される項目には、専門知識、スキル、業務に関連する能力(例えば、プロジェクト管理能力、コミュニケーションスキルなど)が含まれます。通常、自己評価、上司評価、同僚評価などが用いられ、評価は定量的(スコアや評価点)または定性的(具体的なフィードバックやコメント)で行われます。
従業員の能力やスキルが明確に評価でき、キャリア開発や教育訓練の方向性が見えやすいのがメリットですが、評価者の主観が入りやすく、評価が一貫しない場合があるのがデメリットです。
業績評価
業績評価は、従業員の仕事の成果や業務に対する貢献度を評価する方法です。
具体的な業務結果や成果物を評価するもので、評価される項目には、売上、利益、プロジェクトの達成度、業務の効率性、顧客満足度などがあり、業務の具体的な結果や成果が評価対象となります。業績目標に対する達成度を評価するために、数値的な成果やKPI(重要業績評価指標)を使用することが多いでしょう。
明確な成果や業績に基づいて評価が行われるため、比較的客観的な評価が可能ですが、業績評価は短期的な成果に焦点を当てることが多く、長期的な成長やスキルの発展が見落とされる可能性があります。
また達成すべき目標が高すぎると、従業員に過度なプレッシャーを与えたり、不正行為を引き起こす可能性があります。
情意評価
情意評価は、従業員の態度やモチベーション、職場での行動や人間関係のスキルを評価する方法です。
従業員の態度、仕事への取り組み方、職場での人間関係、コミュニケーション能力、チームワークなどの感情面や行動面を評価します。
評価される項目には、職場での態度、チームワーク、コミュニケーションスキル、問題解決へのアプローチ、ストレス管理能力などが含まれます。
情意評価は主に定性的な方法で行われることが多く、評価者の観察やフィードバックに基づく評価が一般的です。具体的には360度評価(自己評価、上司評価、同僚評価、部下評価など)や、定期的なパフォーマンスレビュー、観察に基づくフィードバックが使用されます。
従業員が組織の文化や価値観にどれだけ適合しているかを測ることで、職場環境の調和を保つのに役立ちますが、情意評価は主観的な要素が多く、評価者の感情や偏見が影響を与える可能性があるのがデメリットでしょう。
人事評価制度の評価手法
次に、人事評価制度の評価手法のご紹介です。
人事評価の評価手法は複数ありますが、今回は最もベーシックに活用される3種類をご紹介します。
- MBO(目標管理制度)
- コンピテンシー評価
- 360度評価
それぞれ解説します。
MBO(目標管理制度)
MBOは、「MBO(Management by Objectives)」の略で、組織の目標と個々の従業員の目標を一致させ、従業員が設定した目標に対する達成度を評価する方法です。
目標設定とその達成度に基づいて評価や報酬を決定します。
明確な目標を設定することで、従業員の業績を向上させ、組織の戦略的目標を達成することを目指します。
従業員が明確な目標を持つことで、業務に対する焦点が定まりやすくなりますが、不適切な目標設定や非現実的な目標が設定されると、評価が不公平になる可能性があり、短期間の目標に集中しすぎると、長期的な視点や成長が見落とされる可能性があります。
目標設定や進捗管理の方法に注意を払い、公平かつ現実的な評価を行うことが成功の鍵です。
コンピテンシー評価
コンピテンシー評価は、従業員の職務遂行能力や行動特性(コンピテンシー)に基づいて評価を行う方法で、従業員が持つ特定のスキル、知識、行動特性(コンピテンシー)に基づいて、その業務遂行能力を評価します。
これには、業務の遂行に必要な具体的な能力や行動パターンも含まれます。
職務に関連する能力や行動特性を評価することで、従業員の適性やパフォーマンスを向上させ、適切な育成やキャリア開発を支援することが期待できます。
業務の結果だけでなく、職務遂行に必要な能力や行動特性を総合的に評価できるため、従業員の全体的なパフォーマンスを把握しやすいものの、コンピテンシー評価は主観的な要素が含まれるため、評価者の偏見や見解が影響する可能性があります。
評価の基準を明確にし、主観性を減らすための工夫が必要です。
360度評価
360度評価は、従業員の業務パフォーマンスや行動を複数の視点から評価する方法で、具体的には、自己評価、上司評価、同僚評価、部下評価など、異なる立場の評価者からのフィードバックを集めて、総合的に評価を行います。
従業員のパフォーマンスを多角的に評価するために、複数の評価者からのフィードバックを収集し、その情報をもとに総合的に評価を行います。
多様な視点からのフィードバックを通じて、従業員の強みや改善点をより正確に把握し、より公平でバランスの取れた評価を行うことを目的としています。
評価者には、自己評価者、直属の上司、同僚、部下など、異なる立場の人々が含まれ、評価は通常、匿名で行われることが多いでしょう。
評価される項目には、仕事のパフォーマンス、リーダーシップ、コミュニケーションスキル、チームワーク、問題解決能力などが含まれます。
複数の評価者からのフィードバックを得ることで、従業員のパフォーマンスに対する多面的な視点を得ることができますが、評価者の主観が反映されるため、意見が偏る可能性があります。
評価の公平性やフィードバックの質を保つための工夫が必要です。
人事評価制度を作る目的
人事評価制度を作る目的は、組織内の従業員の業績や能力を体系的に評価し、組織の目標達成を支援することです。
具体的には、以下のような目的が考えられます。
- 業績の評価と管理
- 報酬と昇進の決定
- キャリア開発と成長
- 組織文化の強化
それぞれ解説していきます。
業績の評価と管理
人事評価制度を活用することにより、従業員の業績を公平かつ客観的に評価し、組織の目標に対する貢献度を把握することができます。
これにより、業績が高い従業員を認識し、適切な人材配置を行うことができるでしょう。
報酬と昇進の決定
人事評価の結果に基づいて、給与の調整、ボーナス、昇進などの報酬を決定します。
業績や能力に応じた公正な報酬制度を確立することで、従業員のモチベーションを高めることができます。
キャリア開発と成長
従業員の強みや改善点を明確にし、キャリアの成長やスキルの向上に役立てるための具体的なフィードバックを提供することで、従業員の能力開発促進が期待できます。
組織文化の強化
人事評価制度を通じて、組織の価値観や文化を従業員に浸透させ、共有することができます。また、従業員が期待される行動や価値観を具体的に理解できるようになります。評価制度を利用して組織の目標と個々の目標を整合させることで、全員が共通の目的に向かって働くようになり、共通の価値観や目標に基づく文化の形成を促進します。これにより、組織全体の方向性と一貫性が保たれます。
人事評価制度の作り方11ステップ
効果的な人事評価制度を作るためには、以下の11ステップを踏むことが重要です。
これにより、公正かつ透明性のある評価プロセスを効果的に構築し、組織の目標達成を支援することができます。
- 目的と目標の明確化
- 評価基準の設定
- 評価方法の選定
- 評価プロセスの設計
- ツールとシステムの選定
- 評価者のトレーニング
- コミュニケーションと説明
- フィードバックとサポート
- 評価結果の活用
- 評価制度のレビューと改善
- 法的および規制要件の遵守
順番にみていきましょう。
1.目的と目標の明確化
まずは人事評価制度の目的や目標を明確に設定します。
例えば、業績の評価、キャリア開発、報酬決定など、制度がどのような役割を果たすのかを明確にします。組織の戦略やビジョンに基づき、評価制度がどのように貢献するかを考えましょう。
2.評価基準の設定
評価の対象となる基準を定義します。これには、業績、スキル、行動、目標達成度などが含まれます。
具体的で測定可能な基準を設定し、従業員が理解しやすい形で提示します。
SMART(具体的、測定可能、達成可能、関連性、期限付き)目標が役立つでしょう。
3.評価方法の選定
評価を行う方法や手法を決定します。
例えば、自己評価、上司評価、同僚評価、360度評価などがあります。
適切な評価方法を選び、評価プロセスが一貫性を持つように注意しましょう。
複数の評価手法を組み合わせることも検討するのがおすすめです。
4.評価プロセスの設計
評価のスケジュールやプロセスを設計します。
評価の頻度やタイミング、プロセスの各ステップ(目標設定、評価実施、フィードバック提供など)を決定します。
評価の各段階で必要なアクションやデッドラインを設定し、スムーズな進行を確保しましょう。
5.ツールとシステムの選定
評価プロセスを支援するためのツールやシステムを選定します。
これには、評価フォーム、ソフトウェア、データベースなどが含まれます。
使いやすいツールやシステムを選定し、プロセスの効率化をサポートできるようにしましょう。
6.評価者のトレーニング
評価を行う管理者やリーダーに対して、評価の方法や基準に関するトレーニングを実施します。
公平かつ効果的な評価を行うためのスキルや知識を提供するのが重要です。
7.コミュニケーションと説明
従業員に対して評価制度の目的、プロセス、基準について十分に説明します。
透明性を確保し、従業員が制度に対して理解し、納得できるようにしましょう。説明会や資料の提供が有効です。
8.フィードバックとサポート
評価結果をもとに、従業員に具体的なフィードバックを提供し、必要なサポートを行います。フィードバックが建設的で実践的であるようにし、従業員の成長を促進します。
9.評価結果の活用
評価結果をもとに、昇進、報酬、トレーニング、キャリアの計画などに反映させます。
評価結果が公正かつ効果的に活用されるようにし、組織の戦略的な意思決定を支援します。
10.評価制度のレビューと改善
評価制度の効果を定期的にレビューし、改善点を特定します。
従業員や管理者からのフィードバックを集め、必要に応じて制度を見直し、改善します。
11.法的および規制要件の遵守
評価制度が労働法や規制に適合するようにします。
法的要件を確認し、制度がコンプライアンスを確保するようにします。
人事評価制度を作る際のポイント・注意点
失敗しない人事評価制度を作るためには、いくつかのポイントを押さえることが重要です。ここからは、具体的な注意点やポイントをご紹介します。
- 目的を明確化する
- 公正で一貫性のある評価方法
- 結果だけでなく評価プロセスの透明性を担保する
- 定期的なフィードバック
- 評価者のトレーニング
- 制度のレビューと改善
- 法的および規制要件の遵守
効果的で信頼性の高い人事評価制度を構築し、組織の目標達成と従業員の成長をサポートしましょう。
目的を明確化する
自社の状況をしっかりと把握した上で、評価制度の目的を具体的に定めましょう。
例えば、業績向上、キャリア開発、報酬決定など、組織のビジョンや戦略と一致させるのが重要です。
公正で一貫性のある評価方法
評価の方法を標準化し、公平で一貫性のあるプロセスを設計します。
複数の視点(自己評価、上司評価など)を組み合わせ、評価基準を具体的かつ測定可能な業績、スキル、行動などに設定しましょう。
結果だけでなく評価プロセスの透明性を担保する
人事評価において、誰が見てもわかりやすく、納得できる評価基準を設定し、それを可視化できる仕組みを整えるようにしましょう。
結果はもちろん、評価に至るまでの評価基準やプロセスについても従業員に明確に説明する必要があります。
ドキュメントや説明会での共有も有効です。
定期的なフィードバック
評価結果の共有のために、定期的にフィードバックを提供し、従業員の成長を支援します。1on1のフィードバックセッションを設けるのが効果的でしょう。
評価者のトレーニング
評価を行う管理者・評価者に対して適切なトレーニングを実施するのが大切です。
公正かつ効果的な評価方法を教えるようにしましょう。
制度のレビューと改善
評価制度を定期的にレビューし、必要に応じて改善します。
従業員や管理者からのフィードバックを集めるのも有効です。
法的および規制要件の遵守
労働法や規制に従い、コンプライアンスを確認します。
法律に基づいたチェックと更新を欠かさないようにしましょう。
人事評価制度の作成・運用には専用ツール導入がおすすめ
人事評価制度の正しい作り方を理解することで、適切で効果的な人事評価を目指すことができます。適切な人事評価を通し、個人と会社の成長をはかりましょう。
人事評価制度の作成・運用に、人事評価ツールNewton(ニュートン)がおすすめです。社員教育や給与水準に対しての課題や、スキル・マネジメント・スタンスなど個人の評価が見やすく、多くの情報をひと目で確認できます。
また独自のシステムにより、顧客満足度の向上・生産性の向上を兼ね備えた詳細な仕様が特徴です。
人事評価業務を効率化し、公平な評価基準の浸透・実現のために、「人事評価ツールNewton(ニュートン)」でシンプル化してみてはいかがでしょうか。
この記事を書いたライター
Newton編集部
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