人事評価における5段階割合とは?基準や割合配分、2つの評価方法のメリットデメリットも詳しく解説
2024/12/02
人事評価において、従業員を平等に評価し、昇格や昇給、賞与の参考指標にするため「5段階評価」を人事評価に取り入れている企業が増えてきています。
しかし、そんな5段階評価の割合や、評価の仕方について悩まれている方は多いのではないでしょうか。
5段階評価がうまく機能しない場合、正しい評価ができず従業員の不信感を招き、モチベーションの低下や、企業への不満が発生してしまう可能性があります。
また企業にとって導入するメリットがわからないと、活用するまでに至らないケースも多いでしょう。
本記事では、人事評価における5段階評価の基準や割合配分の決め方を解説します。
また、関連する2つの評価方法の特徴やメリット、デメリットについても説明しますので評価担当者はぜひ参考にしてください。
人事評価における5段階割合とは
人事評価における「5段階割合」とは、社員や従業員の評価を5段階に分類し、それぞれの評価段階に対応する割合を決定する方法です。
この方法は、個々の従業員の業績や行動をランク付けし、その結果を反映させるために使用されます。
具体的な内容は企業によって異なることがありますが、一般的な評価段階とその割合について説明します。
具体的には以下のような5つの段階を設定するケースが多いでしょう。
- S(最上級評価)非常に優れている
- A(優秀)期待以上によい
- B(標準)期待通り
- C(改善が必要)改善の余地あり
- D(不適格)業務に支障をきたす
5段階評価は古くから活用されている評価手法です。
シンプルでわかりやすいため、今でも多くの企業で採用されています。
5段階評価における評価基準
5段階評価による評価基準は企業によって異なりますが、ここでは基本の評価基準をまとめました。
評価の際の参考にしてください。
S(最上級評価)非常に優れている
「非常に優れている(S評価)」に該当する従業員は、単に目標達成を超える成果を上げるだけでなく、リーダーシップを発揮し、自己成長を積極的に推進し、チームや会社の模範的な存在として非常に価値のある存在です。
基準の中では最高等級評価に値し、こうした従業員は、組織にとって「模範的」な存在であり、業績や態度において他の社員が目指すべき基準となります。
A(優秀)期待以上によい
「期待以上によい(A評価)」という評価は、設定された目標を超えるパフォーマンスを発揮するだけでなく、自発的な成長、問題解決力、チームへの貢献といった複数の要素への取り組みが重要な評価基準となります。
目標達成度が高く、期待以上の成果を上げて基準を満たしているが、S評価に該当するほどの卓越性や革新性がない場合にA評価となることが多いでしょう。
B(標準)期待通り
「期待通り(B評価)」は、業務遂行が期待される水準に達しているが、それ以上でもそれ以下でもないという評価です。
この評価を受ける社員は、業務において標準的なパフォーマンスを維持し、目標や基準を満たしているものの、特に目立った成果や優れた貢献があるわけではありません。
評価基準としては「通常通りの期待通り」というレベルに収まり、さらなる成長や改善の取り組みが期待される段階の社員に適用されます。
C(改善が必要)改善の余地あり
「C評価(改善が必要)」は、社員の業績や行動が、期待される水準に達していない場合に付与される評価です。
この評価を受ける社員は、業務の成果やプロセスにおいて改善が必要であり、何らかの具体的な問題や課題があると見なされます。
ただし、C評価は必ずしも「最悪」の評価ではなく、改善の余地があるという点で重要です。評価が低い社員に何もフォローをしなければ、不満を抱いて離職につながりかねないため、通常、この評価がつけられた場合、改善プランやフィードバックが提供されることになります。積極的に改善策を講じることが重要です。
D(不適格)業務に支障をきたす
「D評価(不適格)業務に支障をきたす」という評価は、社員が業務において重大な問題を抱えており、そのパフォーマンスが周囲・組織にとって深刻な影響を与えていると認識される場合に付けられます。
この評価は、最低評価の一つであり、通常は改善の可能性がほとんど見込めない、または非常に難しい場合に使用されます。
D評価を受けた社員には、組織の業務運営に重大な支障をきたすレベルで深刻な問題が存在しているため、改善の機会を与えられる場合もありますが、その改善が見込めない場合には、より厳しい措置が取られることもあります。
5段階評価における割合の配分
5段階の評価の決め方としては、企業が定める割合で各評価を付与します。
この割合は、企業の方針や評価制度によって異なることがありますが、一般的な配分例としては次の種類があります。
- 均等配分
- 正規分布
それぞれみていきましょう。
均等配分
人事評価における「均等配分」とは、全社員の評価を均等に分ける方法を指します。この方法では、各評価ランクに、評価対象者の一定割合(例えば20%)を割り当てることが一般的です。
均等配分の例:
- S評価:20%
- A評価:20%
- B評価:20%
- C評価:20%
- D評価:20%
- E評価:20%
このように、各ランクが評価対象者の全体の中で均等な割合に配置されることが「均等配分」の特徴です。
「均等配分」は、評価結果を均等に分ける方式であり、公平性や客観性を担保し、社員全体のパフォーマンスに均等な分布を求める場合に有効で、各段階の人数が同じであることから、低い評価となった社員は強い劣等感を感じなくて済むのがメリットですが、業績や貢献度に基づく柔軟な評価がしづらくなるというデメリットがあります。
正規分布
人事評価における「正規分布」とは、評価結果を正規分布に基づいて分ける方法です。
正規分布は、データが中央に集まり、両端に少なくなるという特徴を持つ分布のことを指します。
この方法を人事評価に適用する場合、社員の評価が高評価や低評価に偏ることなく、中央値周辺に多く集まり、両端(優れた社員やパフォーマンスの低い社員)は少数しか分配されないようにします。
正規分布を用いた配分の例:
- S評価:上位5%~10%程度
- A評価:20%~25%程度
- B評価:50%程度
- C評価:15%~20%程度
- D評価:上位5%~10%程度
正規分布の採用は、特に多くの社員が同じような業績を上げている場合や、評価の標準化を重視する場合には有効です。
しかし、企業やチームによっては、業績の差が大きい場合や、特定の社員が群を抜いて成果を上げている場合において、正規分布に基づく評価が適切でない場合もあります。
そのため、その組織の業績や文化に合わせて評価方法を調整することが重要です。
人事評価の5段階割合における2つの種類
人事評価における5段階割合には、おもに2つの種類があり、評価基準や方法において根本的な違いがあります。
絶対評価とは
絶対評価は、個人のパフォーマンスや成果を、事前に設定した基準や目標に基づいて評価を決める方法です。
この方法では、社員のパフォーマンスを他の社員と比較することなく、個人の実績や能力を基準に、自分の設定された目標や業務の基準を達成しているかどうかで評価します。
均等配分や正規分布などはおこなわれず、判断されるため、全員がA評価といったこともありえます。
相対評価とは
相対評価は、社員を他の社員と比較して評価を決める方法で、個々の業績や成果を、他の社員と比較してランク付けします。
この方法では、社内全体で、相対的にどれくらいの位置にいるか(例えば、最上位、中間、最下位など)を評価の基準とします。
絶対評価と相対評価を比較
人事評価の2種類の評価方法によって、給与や社員のエンゲージメントにも影響します。メリットやデメリットと合わせて詳しくみていきましょう。
絶対評価
・メリット
絶対評価は、目標達成度に基づいて最終的な評価が決まるため社員一人一人の評価基準が明確で公平性が高いというメリットがあります。
評価対象者の課題や目標が見えやすいため、上司も部下に対するアドバイスがしやすくなり、結果を出した場合は正当な評価がされるため、仕事へのやる気にもつながるでしょう。
所属する部署や年功序列制度、勤続年数が評価には影響しないことや、事前に決められた基準によって評価が判断されるので、評価内容に不明瞭な点がないのが特徴であり大きなメリットです。
・デメリット
絶対評価のデメリットには、評価基準設定の難しさがあげられます。
基準が厳しすぎると多くの社員が目標を達成できず、低すぎても達成が簡単になり社員の成長につながりません。
目標が曖昧だったり過度に難しい場合、評価が不公平に感じられることがある点や、組織内での相対的な業績比較ができないため、全体的なパフォーマンスの傾向を把握しにくい場合があるのがデメリットでしょう。
社員には、自部署内での相対評価の順位だけでなく、他部署との比較視点も持っておく必要があります。
相対評価
・メリット
相対評価では、社員同士を比較し、業績の差を明確にする評価方法で、パフォーマンスの差が浮き彫りになりやすいのが特徴です。
社員は他の社員と競い合うため、競争心を刺激し、高い成果を上げようと社内で切磋琢磨するモチベーションが高まります。
また、評価をグループ内で均等に分けることで、例えば高評価が集中し過ぎることを防ぎ、全体のバランスが取れた評価が得られます。絶対評価のように目標達成した社員全員が給与アップやインセンティブ対象となることがないため、人件費もコントロールしやすいのもメリットです。
・デメリット
相対評価を採用すると、評価の合理性が欠けてしまうという点は否めないため、従業員のモチベーションが下がるケースもあり注意が必要です。
同じ部署やチームに成績のよいライバルがいる場合、いくら頑張っても高い評価を得られないからです。
特定の評価ランクに対して、必ず一定人数を配置するという方法を取ると、業績に関わらず必ず何人かが低評価にならざるを得ないため、優れた社員であっても相対的に評価が低くなることがあります(例えば、A評価が決まった人数分しか割り当てられない)。
また評価が他の社員と比較されるため、実力が十分に発揮できない場合や、他の社員が非常に優れている場合に、自分のパフォーマンスが過小評価されていると感じることがあります。
競争を促進する反面、チームワークを損なう可能性もあるため、注意が必要です。
絶対評価 vs 相対評価まとめ
特徴 | 絶対評価 | 相対評価 |
評価基準 | 自分の業績や目標達成度に基づく評価 | 他の社員との比較による評価 |
比較対象 | 他の社員と比較しない | 他の社員と比較してランク付け |
目的 | 個人の成長や業績達成度を評価 | 全体の中での相対的な位置を評価 |
メリット | 公平で明確な評価基準 | 業績の差別化がしやすく、競争を促進する |
デメリット | 社員間の比較ができず、業績が目立たないことがある | 競争が過度になる可能性があり、不公平感が生じることがある |
適切な5段階評価のためにはツール活用がおすすめ
人事評価を5段階評価でおこなうことで、評価付けが明確になるという特徴があります。制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性向上にもつながるため、最終的には企業全体の成長も期待できます。
各評価の割合、評価方法によってもそれぞれメリットやデメリットがあるため、しっかりと理解した上でどのような形で採用するかを検討しましょう。
ただし、こうした分布によって、正当に評価がされなくなったり、公平性に欠ける評価システムになってしまった場合、会社にとっても大きな不利益となります。
このように人事評価の導入にはコツが必要で、時間もかかるものですが、導入の負担は、人事評価をシステム化することで、評価の質や納得度をまとめて上げることができるでしょう。
人事評価に特化した特許取得済のツール、「Newton(ニュートン」なら、各従業員のスキルや個人評価をはじめとした多くの情報を瞬時に確認できる独自のシステムで、個人に適した項目や基準設定により絶対評価が可能になり、組織・企業の成長に繋がる人材育成の実現を目指すことができます。
人事評価制度において、評価制度設計やその他人事評価業務でお悩みのある方は、ぜひ「Newton(ニュートン」の導入をご検討ください。
この記事を書いたライター
Newton編集部
飲食店の人事に役立つ情報を発信していきます。人材から人材へ、人が育つ人事評価システムNewtonとは、飲食店に特化したタレントマネジメント+人事評価システムです。
管理者の人事管理のパフォーマンスを上げるだけでなく、スタッフのモチベーションアップや、離職率の低下、企業にとっての人材を守るシステムです。詳しくはこちら